『 自己破産 』 -2015年04月22日号

今回は自己破産の手続きについてお話しさせていただきます。
自己破産とは、債務者自身が破産の申し立てを行う事をいいます。
申立を行なう事で、破産企業の財産は、破産管財人によって債権者に配当される事になります。企業が自己破産をする場合は、多様な利害関係者を考慮しつつ、公正、 適切に対処する事が求められるのです。

企業が倒産手続を行う場合には、清算型と再建型の2種類があり、破産の場合は清算型の手続きとなります。
債権者または債権者の申し立てを受けて裁判所が破産手続きの開始を決定しますが、債務者自身が破産の申し立てを行う事を自己破産と言われるものです。

1.破産の手続きについて
  • 破産手続き開始の申し立て
  • 裁判所による破産手続き開始の決定、破産管財人の選任
  • 債権者集会
  • 債権者への配当
  • 破産手続き終結の決定、企業の消滅

以上の様になります。

破産手続きにおいては、公正な配当手続の保障の為、管財人によって会社財産の管理・処分が行われる事になります。
債権者には破産手続きへの参加が強制され、個別の債権回収など個別的な権利の行使は禁止されます。
尚、破産手続開始時に破産財団に属する財産につき、特別の先取特権、質権、抵当権または商事留置権を有する者が、破産手続によらないで優先的に弁済を受けることができる別除権という権利があります。

2.企業の自己破産における留意点について

一般的に企業の自己破産は個人の自己破産に比べて負債の額が大きく、債権者の他にも、従業員や顧客など多くの利害関係者が存在してます。
法律関係が複雑な企業の自己破産においては、以下の様な事にも留意が必要となります。

破産管財人は、本来債権者の配当に充てるべき会社の財産が破産手続き前に処分されてしまった場合、これを取り戻す否認権という権限を有しております。事業用財産を役員や第三者に廉価で譲渡する事は、否認権の対象となる恐れがあります。

従業員については、雇用関係に基づく賃金は他の債権に優先されますが必ずしも全額を支払えない場合もあり得ますので、自己破産することについて、誠意をもって説明する必要があります。
尚、企業の倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対して未払賃金の一部を立替払する制度もありますので、詳細は厚生労働省のHPを参考にしてください。
一方、代表者他の役員報酬は借入金や買掛金等と同じく破産債権であり優先されるべきものではありません。ただ、破産申立直前の役員報酬の支払い、特に過去の未払い分の役員報酬を支払うと否認される事がありますので、注意が必要です。

中小企業では、金融機関などからの借入れに際し、代表者が連帯保証人となっている事が一般的ですので、企業が自己破産をした場合、連帯保証人は連帯保証した負債のみを負担する事になりますので、代表者も一緒に個人として自己破産を申し立てる事が多く見られるのです。

以上が自己破産の手続き、留意点についてのお話しとなります。
自己破産について悩んで見える方は、弊社もしくは弁護士の先生にご相談していただく事をお薦めいたします。

以 上

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