『 役員借入は残す?減らす? 』 -2015年10月07日号

◆役員借入の財務上の取扱

金融機関が中小企業の財務評価を行う際、役員借入については

  • 代表者、もしくは近親者からの借入で
  • 返済が金融機関からの借入返済よりも後回しになっている

場合には、会計上負債に計上されている役員借入を純資産に振替して評価することができます。

これによって、純資産額がマイナス(債務超過)の企業であっても

  1. 役員から会社への資金投下であり、実質的には株式に近い存在
  2. 債務超過であることに対して、経営者として責任をとっている、と見なされる
  3. 例えその企業が清算、もしくは倒産するとしても、理論上社外の負債については全額支払いが可能であると見込まれる

ことで、金融機関は納得・安心することができるという訳です。
確かにその通りです。
しかし、これはあくまでも一過性のもので、最終的には大きな問題に発展する可能性があることは金融機関も警戒しています。
中小企業自身にとっても、避けて通るわけにはまいりません。

◆相続・承継時には評価を失う

例えば会長(社長の実父、会長)から会社への役員借入が2000万円あったとして、いつか会長が逝去された際、この2000万円は相続財産になります。
相続として社外の相続人が半分の1000万円を受け取った場合

  • 金融機関はその時点で、役員借入ではなく、単なる借入として認識し、評価が純資産から負債へ戻ります。
  • 社外の相続人が会社に対して返済を要求してきた場合、その返済がそのままキャッシュアウトになります。
  • 役員借入分を社長が相続した場合、それ以外の資産を代わりに相続として渡すことになりますから、社長個人の相続受取資産がイビツになります。
    例えば、現預金が全く受け取れない、等。

財務上でも、資金でも、社長個人資産においても企業存続に対してマイナスの方向で影響を及ぼします。

◆役員退職金・慰労金等も要注意

この問題は、役員の退職金や慰労金についても同様で引退する経営者が「会社のため」と善意で受け取りを固辞していても、法律上では会社への債権であるため、会社の純資産評価は変わらないとしても、他の問題については全く同様に発生します。

最もシンプルな解決方法は、余裕のある内に債権放棄を受けて処理をしてしまうことではありますが、それぞれのご事情を加味して、最もスムーズな策を構築するべきです。

放置しておくことが、最大のリスクであり、対応を決めている方は、それでよいかの確認をまだの方は、対応の検討・決定をお願いします。

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