▼Q.145 三重県の方からのご相談です。「私は数年前に、逝去した父より会社を承継しましたが、代表になって会社に大きな粉飾があることを知りました。真面目に経営をしていきたいのですが、もはや亡くなった父に経緯を確認することもできません。この状態で銀行に開示してよいものでしょうか?」(メールによるご相談事例)

▼A.145

内容と程度によるとはいえ、粉飾そのものは開示することが、ご自身の銀行評価を上げることに繋がることでしょう。

粉飾を開示できない理由は大別するなら、「建設業の入札や完工保証、商社取引での審査基準に合わせるため」「銀行融資を得たいため」「現経営者の知りえないところで発生したものの残りで、確認することが困難になっているもの」の三点となりますが、お客さまの場合は3番目で、全ての原因の解明はできないのではないでしょうか。
どうしても原因が解明できない場合は、過去決算書の分析で有る程度の把握は可能ですので、「原因特定困難だが、現状の本来の数値は…」という説明での開示は可能です。開示するのであれば、ご自身がこれから誠実に経営をしていくため、まず財務数値を正確に把握したところ、結果として判明した、とするべきでしょう。
とはいえ、ただ単に開示するだけでなく、会計処理としてどうするのか、事業の将来の見通しや資金繰り(納税金額も処会計理方法により大きく変わる)も含めた説明でこそ、金融機関の協力も得られることでしょう。
専門家を交えた検討をすることをお勧めします。