『 早すぎることはない事業承継の準備 』 -2013年12月04日号

先日、弊社社員向けの勉強会がありました。
(以前より交流のあった税理士事務所にお願いしました)

テーマは、事業承継税制・自社株対策・相続税改正、等で、やっていただきました。

経営者層の平均年齢が60歳を超えていると言われています。
そうしたなかで、ここ5年から10年で相当数の企業が、何らかの形で事業承継をおこなっていくことになるかと思います。
(御社や御社の周りの企業でも該当するのではないでしょうか?)

優良企業であっても、普通な企業であっても、どんな企業であっても、中小企業においては、事業承継というのは避けることはできない重要課題です。

勉強会を通して、再確認したこと、新たに学んだことを共有させていただきたいと思います。

  1. 後継者を想定しているか?
    理想は、ご子息やご令嬢といったご親族が会社を継ぐことであるが、それが適わないときは、社員登用や会社の譲渡(自社株の譲 渡)、場合によっては廃業。
    廃業を選択せざる負えない場合は、時期や何らかの金額基準を設けます。
  2. 自社株・事業用資産の集約をおこなう。
    業歴の長い企業にありがちですが、株式が分散していることが多々あります。
    経営に関与していない親族が所有していたり、取引先が所有していたり、いろいろな形が見受けられますが、事業を後継者に委ね るのであれば、後継者に株式が集中するように計画を立ててください。
    まずは、現状の把握から。
    また、個人の土地の上に、会社の工場を建設したりしている場合もあると思います。
    底地の所有者が後継者となれば問題はありませんが、他者となってしまう場合は、事業継続に影響が出ることも想定されます。
    後継者個人が買い取るのか、会社で買い取るのか、検討が必要です。
  3. 自社株等の評価をおこなう。
    分散している株式を購入により集約していくにせよ、贈与するにせよ、相続させることを検討するにせよ、金銭評価が必要です。買取するためにはいくら資金が必要か、贈与する場合は、受贈側の納税額はいくらになるか、相続での移動を検討する場合は、現経営者のすべてのプラスの財産・マイナスの財産の相続税評価をおこない、相続する側が必要な納税資金はいくらになるか、といったことを把握しおきます。
    相続や贈与するにせよ、株式譲渡するにせよ、金額での評価をおこない、金銭があるか、足りなければどうやって準備するか、を現経営者で検討します(場合によっては後継者を交えて協議)。
    不動産等の事業用資産も、自社株と同様に金銭評価します。
  4. 法律・税金制度を勉強し円滑な相続に備える。
    相続はよく「争族」とも揶揄されます。
    あんなに仲の良い家族だったのに、相続が発生したことで、不仲になってしまう。
    実際に、そういったことを何件も見てきました。「うちは大丈夫」と思っても、リスクがあるのであれば、事前に排除するのが、親の務めです。
    そうならないためには、相続をする後継者側ではなく、被相続する現経営者側が事前に準備しておく必要があります。
    そのためには、民法の知識を税理士や弁護士等から教えてもらうことが有益です。
    「遺留分」・「民法特例」・「納税猶予」といったキーワードをご参考に、顧問税理士先生等に聞いてみてください。
  5. 事業承継のために必要な資金を確保する。
    中には「うちは自社株評価が0円だから問題ない」と考えている経営者もいらっしゃいます。
    確かに金銭的な問題なく事業承継できる場合もありますが、それは今の時点の話で、今後はわかりません。
    また、自社株評価はなくとも、経営者個人が会社へ貸し付けた所謂「役 員貸付金」等があれば、それは個人のプラスの財産として評価され、相続税の対象になるかもしれません。
    ともかく、資金確保する手法は知識として持っておく必要があります。

    どういった手法があるかと言いますと、
    ・政府系金融機関からの融資。
     後継者個人への融資、会社への融資、両方ともできます。
    ・信用保証制度の活用。
     通常の保証枠とは別枠が用意されています。
    があります。覚えておいて損はありません。

    ※直接融資にせよ、保証承諾にせよ、当然、返済原資を示すことが必要となります。

以上が、勉強会で学び、再確認した一部です。

事業承継は、かなりの時間を要する必要がある場合が多いです。用意周到にしておかなければ、業績好調であった企業も一瞬で不調に陥ります。

そうならないためにも「経営計画」とともに「事業承継計画」を立て、双方の計画がリンクするように意識してみてください。

また、「相続」というと、後継者側も遠慮が合って、話を言い出しにくかったりすることと思います。
(生きている間に、死ぬ話をするのは、当然、抵抗があります)

本来は、現経営者側が積極的に話をしていければ良いのですが、事業運営に時間が掛かり、なかなかそこまで考えている時間がないのも事実です。

ただ、個人には「寿命」があります。そこは割り切って、顧問税理士を交え、積極的に協議をしていくことを、強くお勧めいたします。
(そのための顧問です)

企業は「寿命」はありません。「永続」を目指してください。
「事業承継計画」を立てるのに、早すぎるということは決してありません。意識して準備なさってください。

今回の情報が、ご参考になれば幸いです。

メールマガジンのご登録はこちらから

毎週水曜日に地域密着の話題をお届けいたします!!

↓ バックナンバーはこちらから ↓