ある会社の1コマ <仕入れ価格高騰による値上げの検討>

10月も中旬を過ぎますと『涼しい』というよりは、『寒い』という日が多くなってきます。
温度差がありますのでお体にお気をつけください。

原油のほかに、鉄・ナフサ・アルミなどの金属、小麦・大豆などの食料品の原材料価格が高騰しています。そのため、中小・零細企業の経営に影響が出るようになっており、経営体力や価格交渉力もある大企業と比較すると厳しい状況です。

経済産業省の調査では、約9割の企業で収益減などの影響が生じていますが、うち4割の企業では価格転嫁が全くできないとされています。

今回は、『仕入れ価格高騰による値上げの検討』についてお話をさせて頂きます。

X社は、自社製品(【FRP】プラスチック製品)の製造販売を行っています。
樹脂とガラス繊維が主材料で原油価格に大きく左右されます。

現有の高騰で材料メーカーは、6ヶ月間で3回の値上げを実施。
【15~20円/kg(1回当たり)】
以前は、価格交渉が行えたのですが今回は交渉の余地はなし

X社は、社内の工程見直し、使用量の低減策を模索しましたが上昇分の吸収には程遠い状態です。
もちろん同時に受注先へも値上げ交渉を行いましたが当初の回答は、『値上げは認められない、自社努力にて値上げ分を吸収するように』でした。

粘り強く交渉をした結果、仕様変更を行うことと価格変動に連動した見積にて決着しました。

客先に対して、値上げ要求をすることは、非常に困難で体力・時間を要します。
要求は、双方協議の上、極力お互いがメリットがある方向を模索しましょう。

例えば、仕様変更による材料低減、納入方法(ロット、梱包、運賃など)、納期、など客先と知恵をしぼりましょう。

適切な利益確保は、経営者にとっての責務です。