『 2016年の金融行政展望 』 -2016年01月13日号
ご存知の方も多いと思いますが、
ここ数年中小企業の倒産件数が減少しているというのは表面上の事実として間違いありませんが、実態の状況としては全く異なる現実があります。
今年の企業倒産件数は10000件を割り込む見込みですが、「廃業」件数は約3倍、30000件に近い件数と予想されており、長期的に増加傾向にあることは変わっていません。
なくなっていく企業数(倒産件数+廃業件数)
としては、何も減ってはいないのです。
◆政府の意思
金融円滑化法に前後して緊急保証制度が生まれましたがこれは実態としては、融資金額の増加する要因とは考えられません。
平成10年~12年の間に存在していた「安定化資金」 が平成15年ごろに「セーフティネット」に切り替わり、さらに緊急保証精度に移り変わったものであって、政府(国家)として新たに、真水の融資が生まれてはいないと考えるのが妥当です。
制度の名前が変わっただけ、というべきものです。
ここ15年以上、融資を新たに注入するという意味での新規融資精度というものは、実際には存在していないのです。
正直なところ、政府としては今後も新規融資制度を導入する意志はありません。
創業融資や新規設備・技術開発に関わるものだけはある程度の積極性を維持することでしょう。
結局、国は今後の日本経済の縮小を鑑み
- 企業数の減少は避けられず、無理やり維持しようともしない
- 企業の代謝を促進し、より新しい分野にリソースを供給したい
- 「代謝」を考えるにあたり、事業収益とキャッシュフローを出せない企業は、代謝されても止むを得ないと考える
- 特に税金の未納については、キャッシュフローを出していない表れと解釈されるので、尚更助けない
(国民の義務を履行していない、という意味でなら尚更)
という姿勢を崩さないことでしょう、いい、悪いは別の問題として。
国の本音としては、国家財政が苦しい中で
「20年近く、融資枠を増大させ続けているのだから、もういいでしょう?」
ということです。
◆中小企業の生き残りのために
中小企業は、ただ流されるだけなのでしょうか?
そんなはずはありません。
本来、中小企業の最大のメリットは、社長の決断による経営判断が早いことにあります。
- 政府や世の中の動きにどこまで、どのように適応させていくか
- 手許の資金をどのように投下し、将来に残していくのか
自らが決め、銀行には協力を依頼していくこと。
困難な銀行交渉を成功させるポイントは、常にこちらからどうしたいのか提示することから始まっています。
先送りが出来なくなっているのは、国だけではなく、私たち自身なのでしょう。
弊社も、お客さま企業が残していくべき歴史や証を定め実施していくことに、これからも努めてまいります。
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