『 銀行の効率化で、企業の決算書が丸見え? 』 -2018年07月25日号
◆メガバンクの一部では、既に非来店で融資契約が?
私がお世話になっていた社長より、久しぶりにお電話をいただきました。
止むに止まれぬご事情で大きな借金を背負い、リスケジュールを始めてもう8年になりますが、事業そのものは建て直してしまった(借金自体が大きすぎて正常化は中々大変ですが、資金繰り的には問題はない)という非常に凄い方です。
「ちょっと聞いてよ」と仰るので伺ってみると
- 某メガバンクのリスケ期日が来るので、どうしたらいいか尋ねたら先方より「来店しないでも、インターネットからリスケ延長申込ができるようになった」との話
- 問題なく審査が進んだ場合、契約もネットでできるとのこと
「こんなことってできるの?」との質問に正直、私もはじめての出来事です、本当にできたなら別途教えて下さい、とお願いをしてしまいました。
金融機関の契約といえば面前自署、銀行員の目の前でハンコを押し、自署することで間違いのない意思確認を行うのが当然でした。
世の中も大きく変わろうとしていることを実感します。
◆ある意味怖い、「決算データの直接提出」
さらに、社長がメガバンクより話を受けたのはもう一点ありまして
- 電子申告している融資先企業の場合、お客様企業からの了解があれば申告データを直接銀行が取得させていただくけれども、いかがでしょう?
という内容。ひょっとしたら社長様に聞き違いがあったかもしれませんが、もし文字通りに受け取っていいのなら「金融機関が、決算書の全データを(税務署から?)自動的に取得する」ということになります。
この社長様は
「さすがに、自分の家の家計簿を全部勝手にみられるのは気持ち悪い」
と回答して、これまで通りの紙での提出となる見込みですが、今後の銀行とのつきあい方について、企業側にもこれまで通りにはいかないことを示しているように思われます。
◆ITの進歩は、「粉飾を許さない」ことに繋がっている
結局のところ、銀行が決算書の元データを直接取得するということは「銀行用決算書」の存在が許されないことになります。
また、以前お伝えしましたがAIによる融資審査も、決算データのみならず直近の仕訳データや入出金履歴も審査・分析に使われることで会計操作がほぼ見破られることになります。
結局、今後の金融機関の仕組みの変化は、ITの進化によって「正しく判定する」ことを目指しており、これまでのような小手先の「融資を得るための技術やノウハウ」を否定する方向にあります。
真っ当に努力されている企業が評価されやすい、という意味ではいいことなのでしょう。
どうか、これまでの理屈に振り回されずに、正当な改善を図って頂ければ幸いです。
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