『 振込は、銀行だけのものではなくなる 』 -2019年02月20日号

送金業務、とはいわゆる振込ですが、実際の資金の輸送・移動を伴わずに残高を移すことであり、より専門的には「為替」と呼ばれます。

長らく銀行以外の企業は送金業務に参入することはありませんでした。

2009年に資金決済法が成立し、送金上限100万円以内であること等の制限付きながら他業者による振込業務参入が認められました。

そして、今回政府は、100万円を超える送金についても広く参入を認める方針であり、参入条件もそう厳しいものではない見込みです。

◆世の中的には面白い、でも銀行にとっては?

個人間では100万円以上の振込はそう頻繁にあるわけではないですが
「100万円以上も取り扱っていいなら、どんな金額でもやるサービスとして事業化する」
という事業家が出てくる可能性は十分過ぎる程にあります。

となると…、利用者としては

  • 仮想通貨でない、円でも銀行を通さずに決済をするサービスが誕生・多様化する
    (仮想通貨のメリットの一つは、決済・送金を銀行を通さないで実行することによるコスト=手数料の安さですが、仮想通貨でなくとも銀行以外からの振込ができるようになるわけです)
  • 送金業務に競争が発生するため、振込手数料が下がりやすくなる

といった具合のメリットが発生することでしょう。

一方、銀行にとっては…、

  • これまで独占的に行ってきた送金業務が規制緩和されることで価格競争が発生し、収益性が激減する
  • 振込に銀行を経由しないため、取引先企業の資金移動状況のウオッチができなくなる

デメリットばかりになりそうです。

◆あおりを受けないように

銀行も収益性を追求しなくてはならないのに、収益が直接的に減少する方向に向かうこの施策。

私は、銀行が収益欲しさに貸出金利の抜本的引上げをやり出してしまわないか、を心配しています。

中小企業の皆様におかれては、銀行にはあまり隙を見せずに、常に銀行を複数選択できる状態をつくりだすことで、金利・手数料条件を無為に悪化させないくらいのご対応をしていただければ幸いです。

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