金融検査マニュアルは撤廃の方向

◆金融検査マニュアルは撤廃の方向

金融検査マニュアルといえば、ここ20年ほど銀行の行う
財務分析の根拠といってよいものです。

山一証券や北海道拓殖銀行の経営破たんによる金融不安の中、
各金融機関がどれだけの不良債権をもっているか
=どれだけの貸倒引当を積めば、安全といえるか
を国の統一された基準をもって明らかにするものとして
各融資先企業の格付け(債務者区分の決定)を行い、
格付けに応じて貸倒引当金を積み上げていくという仕組みは
確かに必要なものでした。

が、一方でどの銀行も金融検査マニュアルに依って
取引方針を決定し、対応していくことから
どの銀行も、同じような決定しか下せない弊害を生みました。

銀行の独自判断をする力が失われたため、
一つの銀行がダメ、と言い出してしまうと他の全ての銀行が
同じくダメ、となるため、企業側としても判断の多様性が
なくなり、身動きがとりにくくなってしまったのです。

◆新たな中小企業評価の目玉

中小企業等経営強化法に基づく
企業評価は、金融検査マニュアルによる評価と異なり
「本業の実態損益が改善すれば、評価されやすい」
「生産性の改善が証明できれば、評価されやすい」
特性をもっています。

貸倒引当については、まったく別の手法で、おそらくは
より各銀行が自らの基準で計上することになるでしょう。

極端な話、例え金融検査マニュアルにおいては「破たん懸念先」
であっても、新規の大口受注に対しては短期紐づき融資は行う、
銀行はその貸倒引当を「要注意先」相当で構わないとする
金融庁はそれを「追認」する、
こんな形が可能になるわけですね。

新しい企業と銀行の関係は、
本来の経営改善や経済的合理性に基づくもの、要するに
「銀行にとってリスクがコントロールできる範囲で
 銀行にとって収益になるもの」
であれば、常に交渉余地がある、と言えます。

ただし、「企業が自ら持ちかけ、納得のいく説明をする」
ことが必要です。
基本ルールを超えた話ではあるわけですから、
企業経営者は自社のプレゼンターとなって、銀行が興味をもつ
ように、説明責任は果たしていくべきだ、ということです。

 


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