『 「融資担当者に合わせて」いては、ダメ! 』 -2017年08月30日号

銀行との交渉事で上手くいかない、というご相談をいただく際、私の方から

「その時に、銀行にどんな資料を提出しましたか?」

というご質問をさせていただくことがあります。
いただくお答えは、例えば融資の申し込みであれば

  • 決算書
  • 試算表
  • 借入一覧
  • 資金繰り表
  • (必要に応じて)受注明細や見積もりなどの、資金使途に関わる資料

であることが大半です。
しかし…
本当のところ、財務上の懸念が特にない企業ならともかく、そうでない企業の場合は、とてもこれだけでは足りません。

例えマル保であっても、です。

新規融資にせよ、リスケジュールにせよ、真っ当に自社のことを伝え、正当な評価を取得して銀行からの支援に繋げよう、というのならばフルセットではないにせよ長期的な経営計画はあるべきですし、企業の事業概要や地域経済を鑑みた長期的な売上の予測・裏付けは必要です。

昨今では事業性評価の導入によって、より必要性が明らかになってはきていますが、実際にやられている企業は少数派。

非常にもったいないことです。その結果、御社も過小評価されてはいませんか?

◆必要な書類は本来もっとある

既に周知されていることですが、銀行という組織は普段御社のことを知らない、社長に会ったこともない審査部が御社の出す資料だけを見て融資可否などを判断しています。
保証協会も同じことです。

他の会社もそうだから、これまで大丈夫だからといって最小限度の資料しか出さない、というのは、御社の評価を過小にされる原因になります。

◆原因は、目の前の融資担当者に合わせていること

銀行への提出資料は、大概社長が融資担当者に何を提出すればよいのか確認して、もらった回答から用意されています。

ここでちょっと待っていただきたいのです。

  • 今日、誰もが「融資担当者は本来的に融資に詳しくない方が大半」であることを知っています。
  • 融資の最終決済は、社長と面会することが殆どない支店長や、本部(審査部)であることも、同じく皆様ご存じです

…であれば。
改めて、融資担当者に言われただけの資料で銀行に融資その他の依頼をすることが、どれ程危険なことかは明らかです。

「融資担当者に口頭で伝えているよ」と思われますか?
それ、ちゃんと伝わっていると、本当に信じられます?
10%も伝わっていません。経験不足・スキル不足の担当者に、そんなことを期待するのは危険すぎます。

◆ターゲットは支店長や、審査部などの本部

狙うべき・訴える相手は、目の前の融資担当者ではありません。
見えない、壁の向こうにいる決裁者に、御社をアピールしなくてはならないのです。

保証協会も同様で、試算表や資金繰り表は「審査するための、最低限の資料」であって、「御社を適正に判断するための資料」ではありません。

銀行との交渉時、窓口は担当者ですが担当者を納得させるのは当たり前、その先にいる方に対してアピールすることを忘れないでいただけると

「担当者に言われた通りのことはやったのに」

という後悔をしないで済みます。
融資担当者に愚痴を言っていても始まりません、融資担当者は入口であって、肝心なのはその先とお考え下さい。

メールマガジンのご登録はこちらから

毎週水曜日に地域密着の話題をお届けいたします!!

↓ バックナンバーはこちらから ↓