『 ゼロゼロ融資返済本格化の中で問われる“財務体力” 』 -2026年3月11日号

今回は『ゼロゼロ融資返済本格化の中で問われる“財務体力”』についてお話しさせていただきます。

なぜ、このようなお話をさせていただくのか。

東海地方(愛知・岐阜・三重)の倒産件数は依然として高水準で推移しています。
2025年の東海3県の倒産件数は971件。前年を上回る水準となりました。
2024年度も約892件と、ここ数年で最も高い水準にあります。

業種別に見ると、

  • サービス業:約230件(最多)
  • 建設業:約209件
  • 小売業・製造業が続く構図

2024年度では、サービス業は約295件と全体の約3割を占めています。

全国ベースでも、2025年の倒産件数は1万件を超える水準に達し、サービス業は約1,000件規模と最多業種となっています。

数字が示すのは、「一部業種の問題」ではなく、構造的な経営環境の転換期であるという事実です。

ゼロゼロ融資返済の本格化について

特に見逃せないのが、コロナ禍で実施された実質無利子・無担保融資、いわゆる「ゼロゼロ融資」の影響です。

帝国データバンクの調査によれば、コロナ関連融資を受けた企業は全国で約3割強。そのうち、返済が本格化した企業の一定割合が資金繰りに課題を抱えているとされています。

東海地方でも、ゼロゼロ融資を受けた企業の倒産は累計100件を超える水準に達しており、「返済開始後2〜3年」で資金繰りが悪化するケースが目立ちます。

重要なのは、売上が回復しているにもかかわらず、返済負担がキャッシュフローを上回るケースが増えていることです。

例えば、

  • 売上:1億2,000万円
  • 営業利益:300万円
  • 経常利益:200万円
  • 当期純利益:100万円
  • 減価償却費:200万円

このような企業でも、年間元金返済額が500万円であれば、黒字であっても年間200万円の資金不足が生じます。

運転資金借入で補填すれば、財務はさらに弱体化します。
これが「静かな赤字経営」です。

業種別に見る構造的課題

① サービス業

サービス業は価格転嫁が難しく、人件費上昇の影響を直接受けやすい業種です。

  • 人件費比率30〜40%
  • 材料費上昇
  • 客単価は据え置き

粗利率が数%低下するだけで、利益は半減します。

② 建設業

建設業では、

  • 資材価格高止まり
  • 外注費上昇
  • 工期長期化

受注量は確保できていても、案件別採算管理が甘い企業ほど利益が残りません。

完成工事総利益率が前年比数%低下するだけで、年間利益は数百万円単位で減少します。

③ 小売業

物価高倒産は小売業で顕著です。
仕入価格上昇分を価格転嫁できない企業が苦戦しています。

在庫回転率の悪化と粗利率低下が重なると、キャッシュフローは急速に悪化します。

金融機関が見ている指標

現在、金融機関が重視しているのは以下の指標です。

  • 営業利益率
  • EBITDA水準
  • DSCR(元利金返済余裕率)
  • 月次資金繰り推移

特にDSCRが1.0を下回る状態が続く場合、「構造改善が必要」と判断される可能性が高まります。

また、ゼロゼロ融資の借換えや条件変更においても、

  • 改善計画の実効性
  • 数値根拠の妥当性
  • 月次管理体制

が厳しく問われています。

「黒字決算」だけでは評価されない可能性があります。
利益の質と再現性が重要視されていると思います。

今、経営者が確認すべき数値

  1. 粗利率の3年推移
  2. 固定費の対売上比率
  3. 返済後フリーキャッシュフロー
  4. DSCR(元利返済余裕率)

これらを可視化するだけで、経営リスクは大きく減少します。

東海地方の企業様の可能性について

東海地方は製造業を中心に底力のある地域です。
技術力、現場力、顧客基盤は強い。

今求められているのは、

「売上拡大型経営」から「財務健全型経営」への転換です。

倒産件数971件という数字は、悲観材料ではなく、経営管理力を高めた企業が選ばれる時代に入った証拠だと私は捉えています。

最後に

ゼロゼロ融資の返済が進む2026年以降、財務体力の差はさらに顕在化します。

しかし、数字と向き合い、早期に対策を講じた企業は必ず持ち直します。

経営は環境に左右されます。しかし、財務は設計できます。

今こそ、利益構造と返済設計を再確認するタイミングです。

東海地方の企業様の底力を信じています。

金利上昇局面で起きている現実

次に、実際に現場で発生している金利に関するお話をさせていただきます。

金利は政策金利の引上げとともに上昇傾向にあります。しかし、すべての企業様の調達金利が同じように上がっているわけではありません。

何が言いたいのか。

既存の融資は、短期プライムレートの引上げに伴い、変動金利型の融資は金利が上がっていると思います。

しかし、新たに資金調達を行う際に、安い金利で調達できていないかというと、そうではない先もあるということです。

やはり金融機関は業績の良い企業には融資をしたい。
借りてもらうには他行と競争しなければならない(貸出条件:金利、経営者保証等)ということです。

実際に安い金利で提案を受けている企業様もあります。

『本当にどんな些細なことでも相談して欲しい。まずは私に一本の連絡を!』

そして正しい方向性をひとつずつ一緒に導き出していきませんか。

私は少しでも皆様のお役に立ちたいと思っています。

以上

参考資料
・帝国データバンク
 「東海3県企業倒産動向」
・帝国データバンク
 「東海3県・物価高倒産動向調査(2025年)」
・帝国データバンク 名古屋支店
 各種倒産調査レポート
・報道資料(東海テレビ等)

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