「 地方銀行は好決算。しかし、その裏側で企業の『金利負担』は確実に増えている 」 名古屋熱血コンサルタントの日記Vol.111

皆様いかがお過ごしでしょうか?
地方銀行は好決算。しかし、その裏側で企業の「金利負担」は確実に増えている
東海地方の主要金融機関から、2027年3月期第1四半期、つまり2026年4月~6月の決算が発表されています。
今回の決算を見て、私が特に注目していることがあります。
それは、 「銀行の収益環境が明らかに変わってきた」ということです。
長く続いた超低金利の時代が終わり、「金利のある世界」が本格的に企業経営へ影響を与え始めています。
そして、銀行にとって金利上昇が収益改善の追い風になる一方で、借り手である企業にとっては、支払利息の増加という形で経営を圧迫します。
経営者にとって、決して他人事ではありません。
東海地方の銀行で増益が目立つ
2027年3月期第1四半期の連結経常利益を見ると、
- 名古屋銀行は99億31百万円、前年同期比35.8%増。
- 大垣共立銀行は84億87百万円、前年同期比45.1%増。
- 十六フィナンシャルグループは112億円台、前年同期比26.4%増。
- あいちフィナンシャルグループは144億37百万円、前年同期比173.1%増となりました。
※あいちFGについては、株式売却益などの影響も含まれているため、単純に本業の利益が約3倍になったという意味ではありません。
こうした数字からも、東海地方の金融機関を取り巻く収益環境が大きく変化していることが分かります。
なぜ銀行の利益が増えているのか
理由の一つが、貸出金利息の増加です。
例えば名古屋銀行では、第1四半期の貸出金利息が前年同期の約101億円から約137億円へ増加しました。
実に約35億円の増加です。
企業への貸出金利が上昇することで、銀行が受け取る利息収入が増えているのです。
銀行にとっては収益改善につながります。
しかし、ここで経営者の皆さんに考えていただきたいことがあります。
銀行が受け取る利息が増えるということは、その反対側で企業が支払う利息も増えているということです。
金利1%の差を軽く考えてはいけない
「金利が0.5%や1%上がったくらいで、そんなに変わるのか」 と思われる経営者もいらっしゃるかもしれません。
しかし、借入金額が大きくなれば、その影響は決して小さくありません。
例えば平均借入残高が、
- 5,000万円なら、金利1%上昇で年間約50万円。
- 1億円なら、年間約100万円。
- 3億円なら、年間約300万円。
- 5億円なら、年間約500万円。
の支払利息増加となります。
重要なのは、この100万円、300万円、500万円を得るために「いくら売上を増やさなければならないのか」ということです。
例えば営業利益率5%の会社が500万円の利益を作ろうとすれば、単純計算では1億円の追加売上が必要になります。
金利上昇を「数%の話だから大したことはない」と考えてはいけない理由がここにあります。
本当に怖いのは金利上昇だけではない
さらに注意したいのは、これから起こる可能性のある金融機関の融資姿勢の変化です。
これまでの超低金利時代、銀行にとって融資先を増やすことは重要な課題でした。
しかし、金利のある時代になれば状況は変わります。
金融機関にとって、 「とにかく貸出残高を増やす」こと以上に、 「どの企業に、どの条件で融資するのか」が重要になってきます。
言い換えれば、企業側から見ると、 「銀行から選ばれる会社」と「選ばれにくい会社」の差が広がる可能性がある ということです。
特に注意していただきたい会社
次のような会社は、一度自社の財務状況を確認しておく必要があります。
- 借入金額が大きい
- 変動金利の借入が多い
- ゼロゼロ融資などの返済が重くなっている
- 毎月の元金返済額が大きい
- 売上はあるのに現預金が増えない
- 利益率が低い
- 税金や社会保険料の負担が重い
- 赤字が続いている
- 銀行借入で資金繰りを回している
- 一つの金融機関への依存度が高い
このうち複数が当てはまる企業は、特に注意が必要です。
「銀行から何も言われていないから大丈夫」ではありません
経営者の方とお話をしていると、
「銀行から特に何も言われていない」 「今まで借りられているから問題ない」 「担当者との関係は良いから大丈夫」
という話を聞くことがあります。
しかし、 銀行から何も言われていないことと、会社の財務状態が安全であることは同じではありません。
資金繰りが悪化してから金融機関に相談すると、選択肢は一気に少なくなります。
逆に、まだ現預金に余裕があり、業績も大きく悪化していない段階なら、打てる対策はたくさんあります。
今、経営者に確認してほしい7つの数字
少なくとも次の項目については、一度確認してみてください。
- ① 借入金総額 会社全体でいくら借りているのか。
- ② 年間返済額 1年間に元金をいくら返済しているのか。
- ③ 支払金利 それぞれの銀行から何%で借りているのか。
- ④ 固定金利と変動金利 今後金利が上昇した場合、どれだけ影響を受けるのか。
- ⑤ 月商に対する現預金 売上が急に減少した場合、何か月耐えられるのか。
- ⑥ 債務償還年数 現在の利益・キャッシュフローで、借入金を何年で返済できるのか。
- ⑦ 今後3~5年間の資金繰り 返済、設備投資、税金、人件費、金利上昇を考慮しても資金が回るのか。
この7項目を数字で確認するだけでも、会社の見え方は大きく変わります。
銀行との付き合い方も変える必要がある
これから大切なのは、 「お金が足りなくなったら銀行へ行く」という考え方から、 「資金に余裕があるうちから銀行と将来の話をする」 という考え方へ変えることです。
決算書を提出するだけではなく、
- 「今後3年間で会社をどうしていきたいのか」
- 「売上や利益をどう伸ばすのか」
- 「設備投資をどうするのか」
- 「借入金をどう返していくのか」
- 「そのために銀行に何を支援してほしいのか」
まで説明できる会社になることが重要です。
銀行に、 「この会社なら今後も支援したい」 と思ってもらえる会社にしていかなければなりません。
銀行が好決算の今だからこそ、自社の借入を確認する
金融機関の決算は、銀行や株主だけが見るものではありません。
そこには、 これから企業の資金調達環境がどう変化していくのかというヒントがあります。
今回の東海地方の金融機関の決算を見る限り、金利のある世界への変化はすでに数字として表れています。
銀行は変わり始めています。
では、自社の借入金や資金繰りは、これまでと同じままで本当に大丈夫でしょうか。
資金繰りが苦しくなってから対策を考えるのではなく、
まだ銀行から融資を受けられる今。 まだ資金に余裕がある今。 まだ選択肢がある今。
一度、自社の借入内容、返済計画、金融機関との取引状況を確認してみてください。
「うちは大丈夫だろうか」 「今の借入条件は適正なのか」 「このまま返済を続けても問題ないのか」 「銀行にはどのように相談したらよいのか」 「今後、どの金融機関と付き合っていくべきなのか」
どんな些細なことでも構いません。
問題が起きてからではなく、 問題が起きる前に相談する。
これからの金利上昇時代には、それが会社を守る重要な経営判断の一つになるのではないでしょうか。
どんな些細な事でも大丈夫ですので是非エクステンド名古屋オフィスのヤマナカまでお気軽にご連絡下さい。
以 上
参考資料
・株式会社名古屋銀行
2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
・株式会社大垣共立銀行
2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
・株式会社十六フィナンシャルグループ
2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
・株式会社あいちフィナンシャルグループ
2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
・日本銀行
金融経済統計月報・各種公表資料
・金融庁・中小企業庁
民間金融機関の貸出動向等に関する公表資料

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