『先日付小切手』

1月に入り、アベノミクスの真価の問われる年。中小企業には未だ
その恩恵は来ていない。賃上げなどどこ吹く風・・・中小企業の
財務基盤の脆弱性では安易に固定費を増加させれば、瞬く間に
利益が飛ぶ。投資の判断をするのは経営者・・・。
アベノミクス同様に中小企業にとっても真価の問われる年になる。

『先日付小切手』

小切手帳をお持ちの経営者の方はこの言葉に馴染みはあるかも
しれません。資金繰りの厳しい経営をされている方は実際に
発行された事もあるでしょう。

最近の相談でこの先日付小切手を期日前に入金されてしまって
不渡りが出たという企業の相談を聞きました。

この経営者の方は資金繰りの厳しさから親族より資金を調達して
返済する担保として先日付小切手を切っていました。しかしなが
ら、返済までの過程で思う様に資金をためる事が出来ず、一括返
済が難しいので分割返済に申し出た所、親族は一部金を決済日1
週間前に受け取ったにも関わらず、残りの小切手を期日前に金融
機関へ入れてしまいました。

その結果、持ち込まれた小切手は手形交換所をまわって支払銀行
へ連絡が行き、当然に金融機関に預金残高が無い経営者へ入金す
るよう連絡が入ります。そこで初めて経営者が知る事になります。

その時で既に14時を過ぎていました。慌ててて経営者が銀行へ
相談に行くが、支払銀行としては何も出来ない。小切手を入れた
方に戻してもらうしか無いとの返答。また昔は16時や17時、
場合によっては翌朝一まで資金を待つことが出来たが今はそれが
出来ないので、15時迄に入金してくださいとの事。

その時既に15時15分前、ここで急いで親族に連絡を入れるも
音信不通で繋がらず、時が経つのをただ茫然と過ぎていくのを、
待つ事しか出来ず15時を過ぎ不渡りとなったとの事。

事前に親族へ話をしに行ったのに、何故・・・。という思いが
経営者にはあった事でしょう。

唯一の救いとすれば、親族へ振出した小切手部分ですので、まだ
仕入業者に情報がまわる可能性が多少少ない事とメイン行は小切
手の継続発行許可など引続きの支援を約束してくれたことぐらい
でしょうか?

先日付小切手はある意味、手形発行より不渡リスクが高くなりま
す。仮に先日付小切手を発行される際は、渡す相手先が信用のお
ける方(企業)か良く考えて実行してください。

そして取引先を変える、取扱高に上限を設定するなどして、少し
でも発行額を減らす努力をしてください。
不渡りを出すと事業存続の可能性を著しく縮める事になります。

奥田 雄二

 


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