『 社会保険料で資金コントロール 』 -2012年04月11日号

社会保険料は、事業者側が約半分負担して年金事務所に支払っています。
この社会保険料は、ご存じのとおり、売上が落ちようが、赤字になろうが、給与支給をする限り、毎月、固定的に支出する必要があります。

原則、当月分を翌月末に支払うことになっています。

業績が落ち込んだ企業は、赤字になれば、法人税は発生しませんし、売上高が減少すれば、消費税の納税額も少額になります。

しかしながら、社会保険料は、売上高や所得に関係ありません。
社員がいれば、給与支給に伴って必ず発生します。

資金繰りが厳しくなると、この社会保険料の支払いが課題になってきます。
消費税と同じような性格で、約半分は従業員から預かっていることもあり、年金事務所としても、そのあたりのことはしきりに言ってきます。

ただし、支払手形決済資金や給与資金や仕入資金を捻出するために、一旦、社会保険料の支払いを繰り延べることもあるかと思います。
支払には事業継続に基づいた優先順位があります。その場合は、社会保険料で資金コントロールする必要もあり得ます。

そうしたときに、一旦遅れてしまった社会保険料の支払いを、どうやって支払っていく方法が一番良いのか、について書きたいと思います。
目安にしていただければ幸いです。

まず、社会保険料は当月分を翌月末に支払うのが通常の方法です。

口座振替にしていれば、末日に指定の銀行口座から引き落とされます。
(曜日や祝祭日の関係で、翌々月の初めになることもあります)

資金繰りが厳しくなったら、まずやることは、口座振替をやめることです。
納付書を送ってもらい、現金で支払うようにしましょう。そうすれば、月末の預金残高を気にすることが少なからず減ります。

それに、翌月末に支払いができなくても、すぐには延滞金はつきません。

年金事務所の職員の方にも確認しました。
翌々月20日までに支払えば、延滞金はつきません。

4月分であれば、6月20日までに支払えば問題ないのです。

4月末日に4月分発生
5月31日法定期日に納付できず
6月20日日指定期日までに納付すれば延滞つかない

安心して資金計画に組み込んでください。

次に、翌々20日にも払えなくなり、延滞となってしまった場合は、どうでしょうか?
延滞になると、年利14.6%の延滞金が付きます。たまりませんね。

この延滞金は、当初の納付期限(法定期日)の翌日からの計算になります。

4月末日に4月分発生
5月31日法定期日に納付できず
6月20日指定期日までに納付できず
6月1日から延滞金発生

ただ、延滞金も最初から年利14.6%かかるわけではありません。
最初の3か月間は低くなります。

年金事務所の職員の方に確認しましたところ、今年は、年利4.3%だそうです。
延滞4か月目から14.6%となります。

4月末日に4月分発生
5月31日法定期日に納付できず
6月20日指定期日までに納付できず
6月1日から延滞金発生
8月31日までに納付すれば、年利4.3%の延滞金
3か月を過ぎて、9月1日になってしまうと、年利14.6%の延滞金

3か月以内であれば、3分の1の利率で済みますね。
そうなると、遅れてしまった場合は、古いものから支払っていった方が得ということになります。

年金事務所や、担当職員の方によっては、新規発生分から納付処理するところもありますが、滞納してしまった期間が4か月以上ある場合は、まず、古いものから充当していただくように要請する必要があるかもしれませんね。

(一番良いのは、遅れないような経営計画をたてることですが)

それと、補足ですが、社会保険料の延滞金は、税金の延滞税等とちがい、経費処理できます(損金算入されます)。その分、所得が下がり、結果、法人税にも反映されます。

また、当然ですが、延滞金には延滞はつきません。
滞納分を月毎に決済していくと、延滞金が確定されていき、発生しますが、まずは元本分から充当してもらいようにしましょう。
延滞金の確定分は、元本分が終わってから払っていきましょう。

以上、社会保険料の支払い方としての参考になれば幸いです。

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