『 経営会議という名の家族会議 』 -2018年07月11日号

職業柄、所謂、経営会議に参加させていただくことがよくあります。

弊社のお客様は中小企業ということもあり、経営会議といっても、実態は家族会議ということが多いです。

なかなか、ご家族同士ですと、感情が先んじてしまい、深いところまでお話が到達しないということもあります。

そうした中、第三者の立場から参加させていただくことで、深耕のある議論ができることが多々あります。

親子間であったり、兄弟姉妹間であったり、利益が出ていたり、赤字続きであったり、その場で喧嘩が始まってしまったり、様々な状況の場におじゃまさせていただきます。

ただ、いろいろな確執があるでしょうが、皆様は共通の目的を持っていることが大半です。

会社を存続させたい、今より状況を少しでも良くしていきたい、そうした考えを皆様が持っています。

たまたま、お立場が違っていたり、背負っているものが異なっていたりすることで、関係がこじれてしまうことが起こってしまいます。

でも、繰り返しになりますが、皆様は共通の目的を持っていることが大半です。

以前に、こんな経営会議に参加したことがありました。

その企業様は、旦那様とその奥様とで経営をなされてきたのですが、旦那様が逝去されてしまい、奥様が代表者になることで、何とか会社を存続させてきました。

しかしながら、売上高が徐々に減少してしまい、親族ではない他の取締役もうまいこと機能しなかったようで、悩まれた末に廃業することを決断しました。
(亡くなられた旦那様から引き継いだ会社ですので、おつらい決断 だったと思います)

廃業手続きの過程で、いろいろと資産を処分していかれたのですが、不動産が入り組んでおり、処分が難しいことが判明し、途方に暮れてしまいました。

その状況をお子様である息子様と娘様が知って、今後、どうしたらよいのか相談したいということで、自分にお声掛けいただき、経営会議を執りおこなうことになりました。

代表である奥様は、廃業を決断したこと、その廃業することさえ難しいこと、といった緊張感のある事態が重なり、ご気分が優れないということで、この経営会議は息子様と娘様と自分の3名でおこなうことになりました。

もう3~4年前のことになりますが、当日の息子様と娘様の表情は鮮明に覚えております。
(自分とは初顔合わせで、しかも、いきなり重い議題でしたので仕方ありませんね)

緊張感のある表情の中に、お母様を何とか助けたいという真剣なまなざしがありました。

自分からは、現状の確認、このままいった場合のメリットデメリット、一般的な法的リスク・税務リスク等、を説明させていただき、それらについてのご質問を受け、回答させていただきました。

しばし、いろいろな角度から協議した結果、息子様と娘様は最終的に会社の存続を選択しました。

ご自身たちもお仕事がありますが、お母様のお手伝いもおこなっていくということで、方向性が決まりました。

確かに小さな会議体ではありましたが、廃業から存続に転換するという大きな決断ができた非常に有意義な会議でした。

家族会議でも十二分に経営会議の様を呈していました。

やはり会議というのは決定の場ですね。それも早く決定するということです。
(間違ったのがわかれば、速やかに訂正を決断すればよいですし)

こうした経緯もあり、自分もご支援させていただくことになったのですが、今ではこの時の経営会議メンバーにお母様が参加しています。

お母様の参加で、より決定のスピードが増しました。

冷静にお話し合いができる環境を整えるという意味でも、我々、コンサルタントをうまく活かしていただければと思っています。

参加者のご意見を整備することで、見えてくるものがあります。

この度の情報が、ご参考になれば幸いです。

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