『 粉飾と多重帳簿 』 -2019年06月19日号

◆粉飾の手法

中小企業でも粉飾…、会計操作というのは、ないとは言えません。
一般的には

  • 棚卸を積み増しして、売上原価を減らす
  • 売掛を積み増しして、売上を増やす
  • 減らすべき資産を減らさないで残し、利益を増やす
  • 経費を計上せずに、現預金や貸付金、仮払金などに存置して利益を増やす

といった辺りがよく行われるやり方です。
当然、やっていいという訳ではありませんし、程度の問題もありますがこれらは、究極的には銀行に許してもらえる余地が残ります。

というのも、
「積み増ししているものは、存在が会計資料に記載されているものだから、銀行は評価する・しないを検討することで、自ら判断できる余地がある」
からです。

分かりにくいでしょうか?
では、その反対を考えてみましょう。

◆負債を計上しない粉飾は、少し分かりにくい

上記の粉飾手法とは異なる手法で

  • 負債を計上しないことで負債を減らし、純資産(利益)を増やす

というものがあります。
例えば税金や社会保険の未払等を隠蔽するために行われますが、この場合、評価する側(銀行)からすると「ないものが、実はあるのでは?」と考えなければなりません。
これは想像力が必要です。

上記の
「会計上計上「済」のものを見て、評価するだけ」
に比べて難しいのです。

従って、銀行からはより分かりにくいものなのですが、「支払義務が将来的に発生する負債を隠す」ということですから粉飾の程度としては、より悪質だとされます。

◆多重帳簿のよる粉飾は、負債の中でも「借入」を偽る

多重帳簿の場合は、さらに手が込んできます。
できるだけ簡単に例を挙げるとA銀行、B銀行、C銀行それぞれから1億、計3億の借入が本当はあるのに、

A銀行には、「AとBから計2億借りている」
B銀行には、「BとCから計2億借りている」
C銀行には、「CとAから計2億借りている」

と言って負債を減らして見せるわけです。

こうなると、A、B、C、それぞれに別々の決算書をつくり見せることになりますから、まさに「多重帳簿」となります。

この手法は、銀行にとっても許しがたいものになってきます。
なにしろ、銀行に対して「銀行取引そのもの」を偽ったことになるのですから。

◆粉飾対応

粉飾を隠し続けることは、長期的に会社にとっていいことはありません。
今日進んでいる新たな中小企業評価の手法も、全て既存の粉飾を行うことが「むしろ融資から遠のく」形になってきているのです(本メルマガでも触れてきていることですが)。

ただ、弊社のお客様企業では粉飾開示が原因で会社が倒産したことはありません。

説明の仕方と、これからどうするかが問題なのです。

これから粉飾や会計操作はをする、というのは意味がなく、過去の遺物として残っているものは、適切な姿に戻すことが重要であり、その方法は専門家にご相談されるべきでしょう。

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