『 相続と事業承継の時に問題となるのは経営者保証です① 』 -2023年03月08日号

相続と事業承継の時に問題となるのは経営者保証(連帯保証)です。
それぞれの場面を見ていきたいと思います。

まず事業承継の際ですが、親族間の承継の場合はそれほど問題にはなりません。
問題となるのは従業員や第三者への承継の場合です。
生え抜き従業員の方はサラリーマンの方が多く、これまで多額の借金をしたことがない場合が多いのです。

最近、従業員承継でご相談頂いたお客様でも、コロナで銀行から多額の借入金がありご自身の事業承継を完了させるには、その従業員後継者が借入金の連帯保証人部分に難色を示されており、代表者としても保証人問題は解消したいと考えていましたので3年で借入金の経営者保証を全て解除する方向で財務内容含め整えていきましょうという話をさせて頂きました。

因みに2022年度上期の経営者保証無しの融資実績割合は

  • 政府系金融機関 52%
  • 民間金融機関  33%
  • 信用保証協会  29%

となっています。まだまだですね。。。。

経営者保証が2023年4月以降に変化する点としては、金融機関が経営者保証を経営者に求める場合、「保証の必要性」「不要になる条件」の説明が義務になる部分です。
具体的には金融機関が事業資金の融資を行う際に、経営者保証を求める場合に、下記の項目を経営者に説明することが明確に義務付けられました。

  1. ガイドラインの条件のどの部分が十分ではないために保証契約が必要となるのかとその個別具体的な内容
  2. 不足部分のどのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるかとその個別具体的な内容

さらに、金融機関は、保証人に対する説明内容を記録として残すことが必須となります。
金融機関にとっては、経営者保証を求める際に、必要な手続きが多くなり、経営者保証を付けなくてもよくなる方法を明確に伝える必要が出てきます。

そうすると2023年4月以降の金融機関担当者の融資姿勢はどのように変化するでしょうか?
単純に考えるとこれまで通りの安易な融資取引を行う件数は少なくなっていきます。
借入できる企業とできない企業が明確に分かれていくことになります。

ある意味、健全な融資取引にはなっていくのですが、早急な移行はコロナ禍で疲弊した中小企業の資金繰り破綻を助長する流れになってしまいます。

経営者保証付融資に手間とコストがかかる部分で金融機関としては保証無しの融資と比較してしたくない融資になってしまいます。
これまで融資取引の際に経営者保証をしてきた中小企業経営者の方にとってみれば、経営者保証無しの融資が受けれるチャンスというよりも融資申込が断られるというリスクの方が高くなるのです。

よって2023年4月以降、融資取引を断られないために経営者保証ガイドラインを中小企業経営者自身が読み返して、早急な自社の経営との比較・棚卸をすることが求められるのです。

次回は相続についての影響についてお話できればと思います。

今回の情報がお役に立てれば幸いです。

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