『 中小企業の事業再生等に関するガイドラインとは 』 -2023年11月15日号

中小企業の事業再生等に関するガイドラインというのは、大雑把に申しますと、財務が傷んだ中小企業の再生支援をするにあたって、債権者としての立場である官民の金融機関が、所謂、外科的手術も含めた思い切った支援をしやすいように、私的整理という複雑な手続きを円滑に進めるための指針のこと言います。

法的拘束力はないガイドラインという運用にはなりますが、この指針に沿って取り組むことで、中小企業も金融機関も双方にとってメリットのある形になれば、中小企業の存続も可能となり、金融機関としても引き続きお取引を継続できることになります。

国としても、中小企業がこれまでおこなってきた経済活動を、廃業等により、市場からなくすことなく、経営者や従業員の方々が培ってきたノウハウとともに、引き続き、事業取引の中で活かしていって欲しい、という表れかと思います。

ゾンビ企業は市場から撤退すべき、といった声も耳にすることがありますが、当該ガイドラインを活用することで、より活性化した市場にしていくことは可能です。
法的整理も選択のひとつかと思いますが、私的整理というものがある、ということも頭の片隅に置いておいていただければと思います。

とは言っても、まだまだ運用するにはハードルが高いという印象はぬぐえません。

そこで、全国銀行協会が取りまとめた「中小企業の事業再生等に関するガイドラインをご存じですか」という案内をご紹介いたします。

その案内のリンクが次になります。

当該案内では、以下のQ1~Q3のように、取り組み方、利用の仕方、依頼の仕方がQ&A方式で簡潔にまとめられており、わかりやすいものになっています。

  • Q1:事業再生等にどのように取組めばよいの?
  • Q2:中小企業版私的整理手続を利用するためには、どうすればよいの?
  • Q3:どのような専門家に依頼すればよいの?
       依頼にあたって注意すべき点はあるの?

今回のメールマガジンでは、その中で、Q1に対する回答取り上げてみたいと思います。
ここに目を通すことで、金融機関がどういった役割をしようとされているのか見えてきます。取り組むに際しましては、必読な部分となります。

Q1の「事業再生等にどのように取組めばよいの?」に対する回答の一部を抜粋いたしますと、

  • 「中小企業者と金融機関がお互いの立場をよく理解し、共通の認識の下で、一体となって事業再生等に向けた取組みを進めていくことが重要」
  • 「事業再生等に関する基本的な考え方として、中小企業者の「平時」、「有事」、「事業再生計画成立後のフォローアップ」の各段階に応じた中小企業者と金融機関の果たすべき役割を明確化し、整理」

といったような記載が見受けられます。

事業再生時において、金融機関・保証機関と事業者は、債権者と債務者という立場になり、ややもすれば反目し合うという状況に見られがちですが、上述にありますように、「【お互い】の立場をよく理解し」「【共通】の認識の下で」「【一体】となって」同じ方向を見て、一緒になって取り組んでいく、ということが重要になります。

当該ガイドラインは、その指針を示してくれています。

全国銀行協会としても、「有事」には金融機関が債権者という立場になりながらも、国の方針を受け、中小企業の存続のために支援していくという役割を明示してくれています。

本気の生き残りをかけるためには、本当に活用のしがいのある手続きだと思います。

また、事業再生ガイドラインにつきましては、機会を設けてメールマガジン等で情報提供させていただこうと思いますが、気になる方は、様々な資料が取りまとめられている全国銀行協会の「中小企業事業再生等ガイドライン」のWebページを隅々までご覧ください。活路を見出せる契機となるやもしれません。

それでは、この度の情報が、ご参考になれば幸いです。

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