ある会社の1コマ <決断のタイミング>

資金繰りに困っていた、M社の経理担当者はある日インターネットにてリスケジュールという言葉を見つけ、早速本を購入し知識習得を始めました。

本の内容では、『銀行と交渉を行い返済元金を限りなく0円にしてもらう』とありましたが担当者は、銀行にそんな申し出をして本当に大丈夫か不安になり、税理士事務所にリスケジュールの相談をしました。

税理士事務所でも扱いがほとんどなく、内容は聞いたことはあるが実際に顧問先が行った事はない。
ただリスケジュールを行うと借入が出来なくなりますよ。との回答がありました。

担当者は、悩んだ末これ以上借入をしても返済のめどが立たない、リスケジュールを行い、会社全体の構造を変えていかないとこのままではいずれこの会社は倒産してしまうと強い危機感を持っておりました。

社長にリスケジュールの説明を行い、決断を迫りましたが答えはNO!でした。

理由は、銀行に迷惑をかけるわけにはいかない!助けて貰っているからとのことでした。
その後、銀行には再三融資の申し込みをしましたが融資は不可能との回答でした。

いよいよ資金不足になり始め、個人借入等を行い資金繰対策を行いましたが解決策とまではいきませんでした。
再度、担当者は現状の資金不足を訴え、対策は銀行と交渉し、リスケジュールしかないと主張しました。

社長も資金不足の状況を理解し、リスケジュールの交渉を行う事を決断しました。

社長と担当者が銀行に出向き、現状の資金繰り・受注予定・客先動向等あらゆる資料を作成し、のぞみましたが“預からせてもらいます”で初日は終わりました。
当時は、モラトリアム法案もなく、銀行は“何を言っているのか帰れ”と言わんばかりでした。

銀行には何度も足を運び、最後は“本当にリスケしていいんですね!”“もう融資は出ませんよ!”と言われましたが、条件変更の手続きを行いました。

M社はリスケジュールをしたがギリギリでの対応でしたので、その後も“人力”を資金対策にとられながらの経営となりました。

もう少し早く決断していれば、無駄な人力を取られることなくスムーズに資金繰りも廻り営業活動に集中出来たのですが遅い決断でした。

熟慮の必要性はありますが、経営はスピードを要求されます。
外部の専門家も交え経営改善・改革を行う方法も考える必要があると思います。