『 ABC分析 』 -2014年04月23日号

ABC分析は良く聞く、自社の分析手法の一つです。、自社の業績を上げる有効な分析手法と私は思っていますし、同じ分析に時間を割くのであれば財務分析するよりはABC分析をした方が、業績改善には即効性・有効性が高いです。

ABC分析とはその名の通り決められたカテゴリー内のものをABCの3つに分類すると言ったシンプルなもので、「重点分析」や「パレート分析」と言われたりします。

代表的な切り口としては、顧客別・商品別の売上高・粗利益や在庫管理などがあり、自社の売上・粗利益の構造・分布を把握し、効率のよい在庫管理を行う上で、広く活用されています。

分析を行う上ではエクセルなどの表計算ソフトを活用すると作成しやすいのですが、顧客別のABC分析を例にとってみると、縦軸に顧客名、横軸に売上高・売上高構成比・売上高累計構成比、粗利益・粗利益構成比・粗利益累計構成比を並べて、集計します。

集計期間はひと月だけでは無く、年間の累計金額を取るようにしてください。ひと月だけであれば、季節変動があった場合に誤った判断を下してしまう可能性があります。

集計例:売上高のみでの集計、取引顧客数 25社の場合

売上高構成比累計構成比
顧客A12024%24%
顧客B9018%42%
顧客C8016%58%
顧客D6012%70%
顧客E5010%80%
顧客F408%88%
顧客G~Y※6012%100%
合計500100%100%

※実際は全て顧客毎で集計する(纏める事はしない)※

上記の企業の例では売上高の上位5社(20%)で企業の総売上高の80%を占めてしまっています。この経験則を一般的にパレートの法則や2:8(ニッパチ)の法則と言いますが、驚くほどに、この経験則に当てはまる企業は多いです。

他にも良く言うのが売上の8割は2割の従業員で産み出しているとか成果の8割は2割の時間で産み出しているとか、2割の商品で全体の8割の売上をつくっているとか、ありますよね。

上位80%の構成比までの顧客を上位顧客としてA分類、80%~95%までを中位顧客としてB分類、残り5%の下位顧客をC分類と設定すると5%の売上貢献のC分類の顧客数が半数以上を締め、左から上位顧客順に並べて行ったグラフを作成するとロングテールの状態になります。

しかしながら分析ですので、当然ながら現状把握という事になります。
ABC分析を行っただけでは、へぇ~そうだったんだ・・・で終わってしまいます。

ABC分析から何を読み取るか、どう活かすのかが重要になります。
ABC分析において現在地を把握した上で、顧客別であれば、顧客内でのシェアはどの程度か? 伸ばす余地はあるのか? 顧客の市場は伸びていて顧客自身も伸びているのか? 与信は問題ないのか? 様々な観点から現状維持か拡大か徹底かを検討します。

優先すべきは当然ながらA分類の上位顧客に対しての方針をどの様に決定するかになります。

仮に上位顧客の80%ものシェアを取っていれば伸ばす余地は20%しかありませんので、重点として置く必要も無いでしょうが、顧客企業が伸びているのであれば、新たな商材で顧客内の別のシェアを取りに行けないか? 逆に顧客企業が衰退期に入っているのであれば、シェア80%は、与信リスクが高まりを意味します。営業からくる情報を基に方針を決定します。

逆にC分類の下位顧客は数だけ多くて、利益貢献はしていない事になる為、こちらから積極的に営業をかける相手には該当しないのが多数になりますが、その中でも磨けば光る宝石の原石がいる場合がありますのでC分類においても一律に取引を流すだけにするのではなく営業が訪問していないだけで、当社の商品やサービスを理解していないから注文が無いだけかもしれませんし、担当が変わって切り込みやすくなっているかもしれません。

C分類についても営業からの情報を基に、ランクアップ出来ないか? 検討していく必要があります。

そして拡大深耕・現状維持・縮小撤退の分類分けを行い、重点顧客に対しては、訪問頻度を上げる、提案回数を増やすなど営業活動に時間の多くを割き、方針を実現させ売上・利益を拡大していくツールとして活用していきます。

ABC分析は当然に顧客別だけにとどまらず、商品別ABC分析でも市場シェア・生産性・トレンドを方針の検討材料とし、在庫ABC分析では回転日数・トレンド・ロス率などが方針の検討材料になり得る。

ABC分析を行っていないのであれば、是非一度、自社の現状把握をするツールとして使ってみてください。まずは行動を起こす事が、肝心です。行動を起こさなければ改善・復活はあり得ないのです。

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