節税が、会社を倒してしまう
『節税が、会社を倒してしまう 』
中小企業経営において相続・承継の問題がクローズアップされてきたことで、より税金への対応が求められるようになりました。
経営者からご相談をいただく際にも、税金に関わるものが増えていますが、経験上、
「どうすれば、税金を減らせる?」
とご相談と
「どうすれば、税金を支払っても上手くやっていける?」
とご相談分かれており、
断然、後者の仰り方・考え方をされる企業の方がよい経営がなされています。
これは、「お金に余裕があるから、そんなことができる」
というだけの理由ではないことを、まとめておきます。
・節税は、現預金を減らす
節税手法の大半は、「節税金額以上のもの」を購入、キャッシュアウトするものです。会計上は利益の先送りができても、キャッシュが過剰に減っていては経営が安定しません。
・節税は、財務内容を悪化させる
節税は、概ね利益を抑える(将来に繰り延べする)ものですが、純資産が十分でない企業が利益計上を渋っていたら財務内容が悪化します。
・節税は、資産を減らす
利益を計上しないのですから、貸借対照表の上では資産が減るか、負債が増えます。身の丈の範囲ではありますが、必要な資産もなしに、将来の売上はつくることができません。
・節税は、後継者への繰越
節税と呼ばれるものの多くは、「繰越」であり、後継者にその支払負担を負わせるものです。つまり、自分から他者への先送りです。
◆正しい経営と、節税は繋がる
必要以上の税額納付を抑えることは全く否定しませんが、経営の本質から離れた節税行為は、長い目で見れば損になる、ということです。
さて、では中小企業のあるべき対応は、というと…、今後とも、中小企業に対する税制度が
税引前利益からの課税 :減る
売上からの課税(消費税):増える
である以上、最も効果的な税金対策は
「赤字取引をしない」
ことに尽きるのではないでしょうか。赤字でも売上には消費税が課税されるのですから。
結局、節税に囚われなくとも、正しく利益管理された経営によって節税も資金繰り改善も果たされるのです。
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