『 所要運転資金を大事に その2 』 -2018年06月27日号
◆その会社は、リスケ中でもお金を借りられた
私が担当しているその会社は、リスケ中です。
非常に努力されて、4年前までの赤字体質から、現在はほぼ毎月黒字計上できるところに迄、経営改善がされました。
でも、なかなか今以上にはなれない。
リスケ中なので、新規の運転資金の借入ができないことから新たに仕入を増やすことができなかったのです。
この状況は、1年前からある程度予想されたことでしたので、社長とともに
「来年くらいには、リスケ中であっても新規で借入ができるように今から銀行との交渉をはじめてしまおう」
と動き始めていました。
その結果、今回数千万円もの新規運転資金をリスケを継続したまま、受けられることが決まりました。
◆所要運転資金を、毎月示す
この会社は、毎月前月の試算表その他の資料を提出していましたがその際に、所要運転資金の状況も毎月添えました。
4月 | 5月 | ~9月 | ~3月 | |
受取手形 | 55 | 50 | 77 | 27 |
売掛金 | 119 | 117 | 135 | 158 |
棚卸資産 | 114 | 79 | 99 | 76 |
買掛金 | 112 | 110 | 105 | 139 |
所要運転資金 | 177 | 136 | 206 | 122 |
この会社は月によって所要運転資金が大きく変わることをアピールし続けました。
平均的な月ならば、所与運転資金は150百万程度なのですが、少ない月は120百万円程度、多い月は200百万を超えるのです。
問題は、決算月は「所与運転資金が少ないこと」。
決算書だけで判断されると、運転資金は少ない=資金負担が少ない
だから大丈夫、
とされてしまうことを予想して、そうならないように
「決算月の所要運転資金はこれだけだけれど、月によってはこんなに必要になる」
ことを、毎月念押しして
「今年も計画利益を達成するためには、所要運転資金が大きくなるところに合わせて融資を得られたらいいんだけれど…」
と銀行に伝え続けた結果、取引銀行の内2つがリスケ中であっても、新規融資を行いたい、と申し入れをするに至りました。
◆毎月伝える?意義
会社が利益を出していることが前提とはいえ、将来的に必要になることを見越して1年がかりでの取組みでしたが、元々銀行融資が
困ってから申し込みしても望み薄であることは広く知られていること。
だからこそ、前回りして対応できた見本のような形になりました。
毎月試算表を出すこと自体の意味は、やらないよりまし、という程度。
しかし、試算表を出しながら「当社は将来的にこれだけ必要」と示し続けることには、大きな意義があります。
融資を受ける信用は、積み上げていくものなのですから。
御社におかれても試算表を出すなら、ただ出すだけではなく、将来的な構想や、今の実績を合わせて銀行に報告されると、将来的に資金に困らない経営ができることでしょう。
以前に比べれば、リスケ中でも融資を得られる余地は拡がっています。
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