『 金融システムレポートの発表が日銀からされていますが 』 -2018年10月24日号
◆リスケ企業に、本当に融資はでているのか?
10月22日に日銀より金融システムレポートが発表されています。
レポート曰く
「企業はミドルリスク層を中心に銀行借入を増大させており」
なんだそうです。
私が知る限りでは、ミドルリスク層=要注意先≒リスケ先なので、まるでリスケ企業への融資残高が増えているような言及がされている
ことになります。
私は…、このコメントにものすごい違和感があります。
そもそも、文章が変です。
「企業はミドルリスク層を中心に銀行借入を増大させており」
政府発表の文面は、一言一句練りに練られていることを念頭に慎重に解釈する必要がありますが、銀行が融資を増やしており、という書き方ではありません。
要注意先と判定されている企業が自分の意思で思うように銀行借入を増やせるわけがないことを、私たちはよく知っています。
企業はミドルリスク層を中心に銀行借入を増大させており と言っておいて、その数的な根拠は一切言及がないことも変です。
日銀レポートらしくありません(ある意味では「らしい」のですけれど)。
◆真相は
個人的に、八方美人な意見をとりあえず書いておいて、金融庁に「あとはよろしく」をしているように感じます。
要するに、今回の日銀レポートは、言葉のマジックがありそうで鵜呑みにしない方がいいのかなあ、ということです。
ちなみに、要注意先への融資金額が増えているのは正しいとした場合に想定されるのは
- リスケ先でも増加運転資金や正当な設備資金は融資する
- リスケ新規申し込み企業の増加
の他
- これまで無理やり正常先判定していたものを、要注意先に変更したことによる評価上の問題
- 破たん懸念先を要注意先に(以下同文)
- 銀行内部規定の変更で正常先下位を要注意判定に変更
- 正常先下位に融資を打ち込んだ結果、要注意先に変わる
が考えられます。
私としては、今回の「ミドルリスク層の企業の借入増大」は銀行が中堅企業に大ロットの融資を打ち込んで、「中小企業向け融資の残高を伸ばした」としているに過ぎないと考えています。
とはいえ、弊社お取引先でも小規模・零細の中から再生を勝ち取った企業が出ていることも確か。
あきらめることなく取り組んでまいりましょう。
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