『 うちの会社は借りられる、の最終形態 』 -2018年11月21日号
◆「うちの会社は借りられる」の先
十分な融資を得られる状態は、会社に資金繰りの安心感をもたらします。
とても重要なことですが…、ここで立ち止まってしまうのは何か不測の事態が発生すれば、そうでなくなることになります。
それでは、安心感があるとは言えません。
少々問題があっても大丈夫なことが大事ですから。
ここでは、「融資取引フェーズ」というものを挙げてみてそれを引き上げていく、という考え方を使ってみます。
今借りられるから大丈夫、だけではない条件が分かれば意図的に、より上を目指すことができますので是非ご参考にして下さい。
◆融資取引フェーズは5段階ある
より下のフェーズを目指すことで、結果的に融資取引はより盤石になります。
- 必要な資金を借りられる
スタートラインです。十分に借りられない場合は再生としての取組みを含めて考えます。 - 長期・短期借入を適正に分ける
調達余力が十分になってきたら、短期借入・長期借入の区分を最適化します。会社の所要運転資金部分は短期借入(期日一括返済、いわゆる短コロ)として元本返済負担を外しつつ、プロパーでの取扱を銀行に求めます。 - プロパー融資化、マル保借入を止める
長短区分が適正化されると、返済ペースも適正になるため「返済のせいで資金が減っていく」ことが回避できるようになります。ここまでくると新規借入をプロパーのみにして、マル保借入は非常時に利用するために空けておくことができるようになります。 - 低金利融資を活用する
プロパー融資では、一定の財務評価を持つ企業ならば市場連動金利を適用することでより低金利(短期で0.3%~超長期で~1.0%)での調達が可能になります。 - 借入を無保証化する
さらに財務内容が評価される水準になれば、借入の無保証化をすることができます。
◆最大の財務要件は、自己資本比率。
最大の障害は過剰な税金対策
このフェーズ改善を進めるにあたり、最重要な財務指標は自己資本比率です。
どうしても障害になりやすいのは、過剰な税金対策。
節税をやりすぎると、自己資本比率は上がりません。
節税は分かりやすい支出減ですから、多くの中小企業が取り組んでいます。しかし、自己資本(純資産)の十分な確保が将来にわたる資金調達余力を高めること、また借入の無保証化は「素晴らしい会社を承継できる」ことに直結するため、承継を見据えた経営として、今後はより求められることになるでしょう。
私は、最終目標は自己資本比率を20%以上としています。
御社でも融資取引フェーズの引き上げをご検討いただき将来の無保証化と、円満な承継の達成を目標にした経営戦略をもっていただければ幸いです。
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