『 資本性劣後ローン活用による承継の考え方 』 -2022年08月31日号

弊社メールマガジン2022年07月13日号において、日本政策金融公庫の資本性劣後ローンにつきまして書かせていただきました。

資本性劣後ローンで、ゼロゼロ融資の返済開始に備える-2022年07月13日号
https://finagoya.com/?p=18881

  日本政策金融公庫:
  新型コロナウイルス感染症対策 挑戦支援資本強化特別貸付
  (新型コロナ対策 資本性劣後ローン)

  国民生活事業
  https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/shihonseiretsugo_m.html

  中小企業事業
  https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/shihonseiretsugo_t.html

この度は、この資本性劣後ローンについて、もう少し深掘りして情報提供させていただきます。

この資本性劣後ローンの特徴は、通常の融資と異なる部分がいろいろと存在します。
例えば、次のような事項が挙げられます。

 (1)別枠である。
 (2)期限一括返済(毎月の元本返済がない)。
 (3)無担保・無保証人。
 (4)自己資本とみなすことができる。

今回のメールマガジンでは、(3)無担保・無保証人 を中心に取り上げてみたいと思います。

融資実行にあたっては、①:既存の借入はそのままに、こちらの依頼額を実行してもらうパターンの他、②:融資実行を受けるタイミングで既存借入を返済するパターン、もあり得ます。

  ① 資本性劣後ローン実行、既存借入:そのまま
  ② 資本性劣後ローン実行、既存借入:完済

①のように、新たに実行してもらった資本性劣後ローンによるキャッシュをそのまま残し、それを運用できることが望ましいのですが、別枠とは言え、日本政策金融公庫側の考えもありますので、②の形で真水を出してもらったり、ほぼ同額で実行されることもあります。

確かに、②の借換のような形で、真水がほとんど生じない場合は、手許キャッシュが増えることがないため、あまり意味がないとないと考えられる方もいらっしゃると思います。

ただ、そうであっても、実行可能性があるのであれば、取り組んでいただきたいと思うのです。

お勧めするにあたって、特に強調したい事由は、前述(3)にあるように、”無保証人”だからです。

資本性劣後ローンは、基本、返済期間が長期にわたります。
5年1ヵ月や7年というものもありますが、10年、15年、20年といった長期の期間であることに意義がありますし、実際、これらの期間で取り組まれることが多いです。

そうなりますと、現経営者のご年齢によっては、ご自身の代で完済することが難しいかもしれません。次の後継者に、返済を委ねることもあろうかと思います。

通常の長期間の融資の場合、そこを気になさる現経営者の方が多数いらっしゃいます。
また逆に後継者側から見ても、借入や連帯保証を引き継がなくてはならないとなりますと、継承に二の足を踏んでしまうことも起こり得るかと思います。

こうした現経営者と後継者の双方の懸念を解消できるのが、無保証人である資本性劣後ローンです。

現経営者としても、ご自身が引退して後継者へ承継される場合でも、連帯保証のことを憂慮する必要はありません。
後継者としましても、連帯保証がないのであれば、安心して継承することができるでしょう。

この無保証人という視点を持って、資本性劣後ローンを承継に活用されることが、貴社にとっても良い選択であることは相違ないのではないでしょうか?

改めて、貴社に当てはめて、ご検討くださいませ。

この度の情報が、ご参考になれば幸いです。

 

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