『 経営戦略として組織再編:のホールディングスの設立 』 -2024年08月21日号

大手企業ではグループ企業を取りまとめるホールディングスの存在が当たり前の時代になっています。
規模が大きくなるに従い、事業が多岐にわたり、いろいろな手続きが煩雑になってきます。

グループ内の各事業会社の個々としましては、当然、自社をより良い状態になっていくことに邁進していく必要があるのですが、グループ全体を考えますと、個々の部分最適ではなく、グループ全体を捉えた全体最適の視点で経営をおこなっていく必要があります。

その全体感をもって、グループ全体に意思を伝えていくために、親子間が明確となるホールディングスを活用していくことがスムーズな経営をおこなう一助となります。

そして、この考え方は中小企業にもあてはまります。

当該メールマガジンにおいて、以前に、ホールディングスのことを取り上げたことがありました。

ちょうど1年程前に書いたものですが、このときより、中小企業でのホールディングス活用の必要性が、より出てきているように感じます。

改めまして、中小企業事業者がホールディングスを設立することにより、メリットとなり得ることを書いてみたいと思います。

【ホールディングス設立のメリット】
  1. 経営と執行の分離
    経営戦略の立案と日々の業務執行を分離することで、迅速な意思決定と効率的な事業運営が可能になります。
    方針は親会社であるホールディングスでおこない、その方針をなすための実行を子会社である事業会社がおこなうことになります。各々の役割を明確にすることで、そこに集中することができるようになります。成果もでやすい体制化と思います。
  2. 既存事業の分社化
    既存の事業会社(子会社)を業種別や機能別に分社化することで、各事業の採算性が明確になり、経営責任の所在も明確化されます。こうすることで曖昧であった部分を把握することができるようになり、厳格な経営を進めていくことが可能となります。
  3. グループ内再編の容易さ
    グループ法人税制により、グループ内での資産等の移転がしやすくなります。これにより、経営環境の変化に応じた柔軟な再編が可能になります。
    ホールディングスに、グループ内の不動産を集中管理してもらいことも、やり易くなります。ホールディングスで不動産を所有することで、グループ全体の資産管理が効率化されるとともに、資金調達における担保価値の向上にもつながります。
  4. M&A戦略の強化
    持株会社体制は、外部の事業や会社を譲受しやすい仕組みとなっています。新規事業の取り込みや、シナジー効果の高い企業の買収が容易になります。
    また、いまの時代はあらゆる業界で人手不足が深刻となっております。ヒトの確保を目的として、事業や会社をグループ内の獲得していくのもアリかと思います。
【組織再編のポイント】

組織再編を成功させるには、綿密な計画と実行が不可欠です。以下のポイントに注意しましょう。

  1. 明確な目的設定
    ホールディングス化することで、どのような効果を期待するのか、を経営陣で充分に協議し、共通認識を持ちましょう。
  2. 適切なタイミング
    業績が好調なときこそ、次の成長に向けた組織再編のチャンスです。業績が落ち込んでしまうと新たなことをおこなうのに億劫になってしまいがちです。やれるときにやっておく、ということが本当に大切です。
  3. 従業員への説明
    組織変更に伴う不安が生じるかもしれません。異動もあるでしょう。これらの不安を払拭するため、従業員の皆様への丁寧な説明と理解促進が欠かせません。全体と個別とで機会を設けましょう。
  4. 法務・税務面の検討
    手続きとしておこないやすいスキームとして株式移転というものがあります。また、分社化やM&Aといったことも必要になるかもしれません。様々な法的手続きや税務上の影響があります。それらの知識と経験のある専門家との連携が重要となります。
【専門家チームの構築】

組織再編を成功に導くには、様々な専門知識が必要です。以下のような専門家チームを構築することをお勧めします。

  1. 司法書士先生:法的手続きの遂行
  2. 税理士先生:税務面での最適化とリスク管理
  3. 金融機関:ホールディングス等の組織再編においての資金調達

重要なのは、どの士業先生でも対応できるものではない、ということです。
様々な手続きをご対応できる先生なのか、事前に協議・確認しておく必要があります。
これらの専門家と密に連携することで、スムーズな組織再編が可能になります。

組織再編は、企業の未来を左右する重要な経営判断です。適切に実行すれば、企業価値の飛躍的な向上につながる可能性を秘めています。こうした手続きを経ておくことで、承継に際して、いろいろな選択肢を持つことができるようになります。こうした複数の選択肢が持てる状態を意識してつくっておくことが現在の経営者の務めだと思います。承継した将来の経営者もきっと感謝してくれることでしょう。

貴方の企業が、組織再編を通じてさらなる成長を遂げられることを心よりお祈りしております。組織再編やホールディングス化についてのご相談は、いつでもお気軽にお問い合わせください。

それでは、この度の情報がご参考になれば幸いです。

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