『 地域別での金融機関格差 』 -2024年08月28日号
仕事柄、様々な地域での金融機関支店担当者、本部の方と打合せさせていただく機会がそれなりにありますが、今回は金融機関の地域格差というのを私が感じたままお伝えいたします。
これはあくまでも私の経験と所感ですので、その点ご留意ください。
【首都圏】
経済の4割~5割を占めていて企業数も多いことから、特に東京おいては全国各地からの地銀が出店していることもあり、金融機関の貸し出し競争が極めて激しい地域、そのため年商2億程度の中小企業でも借入先が5~8程度に広がってしまう傾向がある。
良い意味で借りやすい環境下にはあるが、借入行が多い中、再生フェーズに陥ると全金融機関からの合意形成を得るためのハードルが高くなることから、企業単独での金融調整が難航することもあり、活性化協議会が入っても手間取るケースも多い。
また競争の激しさから保証協会を使わず運転資金=短期融資、設備資金=長期融資も思想としてあり、短期継続融資に関しても一般的になりつつある。
顧客本位の事業性をみている融資の割合が増えてきており、それについていけていない金融機関は借換の対象となっているケースが散見されてきている。
【関西圏】
中国、四国の金融機関が出店攻勢をかけてきており、大阪圏内は競争が激化している印象。それにより金融機関毎で独自色を出しており、
不動産融資に力を入れている先、事業承継・M&Aに力を入れている先、経営改善に力を入れている先など、多様化していることから顧客側においても金融機関を一本化しようとするメリットが薄く感じられてしまっている印象を受ける。
その為、大阪市内にありながら残高メインが他県の地銀という企業も以外に多い実態がある。
【福岡圏】
各県単位で主要銀行が牛耳っている印象。その為、支援方針となった先についての対応は手厚いが、その逆も真なりいった印象。
担保・保証に頼らない融資についても積極的に対応していることに加えて、経営改善先に関しても事業性があると見込まれる先、かつ一行取引に該当するような先については、一歩踏み込だ再生型金融支援をスピーディーかつ独自で行う印象が強い。
その分、金利・手数料についてはそれ相応の対応が求められるため、企業側が提案の良し悪しを判断できる知性と理性が求められる。
【名古屋圏】
東海銀行が無くなってから、この地をリードしていく先端的金融機関が存在していない状況が今も続いている。
他地域からの金融機関も支店はあるものの、積極的にはシェアを取りに行くわけではなく、貸し出しやすい先へ融資をしているに留まってしまっていて、東海3県にある金融機関でシェアを奪い合っている印象。またメガ信金も多く地域での影響力を発揮している。
そして、T社を頭に製造業及びその関連業種で業績の良い先が多いことから、名古屋金利と言われるほど金利競争が激しい地域と言われている。
その印象や影響がどの程度あるのかは計り知れないが、金融機関が独自商品や営業を行っている話も乏しく、企業側も金利に目線や話題がいくことから金融環境が良くなってきているとは言えずお互いに成長の阻害要因にもなってきている印象を受ける。
ここにきて愛知県内の金融機関合併が進んだことから、ここを起点にどのように金融環境が変化してくるのか、どこが先端になるのかを見定める時期ではある。
以上が私の目からみた各経済圏での金融機関の大きな特長といえます。
大事なことはどの経済圏が良い悪いという話ではなく、流行と同じように、、、水が高いところから低いところへ流れるように、、、規模が大きい経済圏からいずれ小さい経済圏へ金融環境は流れていきます。
そういった意味で今、他経済圏で起きている現象は自らの事業継続における金融環境を整えるという意味において有意義な情報であると私は思っています。
その中で、これからの金融支援の在り方と金融機関の選択を間違えないようにしたいですね。
特に名古屋圏で事業を営まれている方は、どの金融機関と付き合うかによって、成長資金・事業継続資金を得る機会の頻度・金額も大きく変わってきますので、各金融機関の態度・提案の一挙手一投足を見逃さないようにしてください。
方針を知るにあたって、こちらから融資提案依頼を行うのもアリですよ!
今回の情報がお役に立てれば幸いです。
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