『 期限の利益の喪失について 』 -2013年10月16日号
皆様、期限の利益という言葉を聞いたことがありますか?
昔は、金融機関から借入を行う場合事細かな説明はなかったと思いますが、現在は借入れを行う時にその都度、重要事項の説明として、期限の利益について説明を受けられていると思います。
今回は期限の利益の喪失について、お話をさせていただきます。
まず期限の利益とは、期限の利益とは決められた期限まではお金を返さなくてもよい、代金の支払いを請求されない等、期限が到来していない事で、債務者が受ける利益の事をいいます。
期限の利益は債務者にとって非常に大きな利益、権利ですので大切にしなければなりません。
この期限の利益を失う事を期限の利益の喪失といい、債務者は借入金など全ての債務を全額直ちに返済しなければならなくなります。
期限の利益を失うと、その銀行の預金についても引出ができなくなるなど、重大な影響を生じますので、期限の利益が喪失しないよう
に、細心の注意が必要です。
民法では、債務者が期限の利益を行う要件としては、1.破産 2.担保の毀滅 3.担保提供義務の不履行を定めておりますが、金融機関はこれでは十分ではない事から、銀行取引約定書に期限の利益喪失条項を定めています。
期限の利益喪失条項には、債務者がその信用を損なうような一定の事実が生じた場合に、期限の利益を喪失し、債務者が直ちに全額を弁済しなくてはならなくなる特約を定めた条項を指します。
一定の事実が生じれば自動的に期限の利益が失われる当然喪失と、銀行が期限の利益の喪失を請求した場合に期限の利益の喪失が失わ
れる請求喪失の2種類があります。
- 当然喪失となる一定の事実
・破産、民事再生手続開始、会社更生手続開始等の申立があった時
・手形交換所の取引停止処分を受けた時
・弁護士等へ債務整理を委任した時、自ら営業の廃止を表明した時
など、支払を停止したと認められる事実が発生した時 - 請求喪失となる一定の事実
・債務者が債務の履行を一部でも遅滞した時
・担保物件に対して差押または競売手続の開始があった時
・保証人について以上のような事実が生じた時
上記以外にも銀行取引約定書に具体的例が記載されていますので、ご確認ください
今後金融機関から借入れを行う場合は、必ず期限の利益について説明があると思いますので、参考にしてみてください。
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