『 支払金額減額中のリース料の残債決着例 』 -2013年05月22日号
銀行の融資取引で条件変更をおこなうと、借入残高が残ったまま当初の最終期日を迎えることがあるかと思います。
この場合、改めて契約を巻き直すことになります。
リース契約も同様で、支払金額の減額をしてもらえた場合、リース料残債が残ったまま、最終期日を迎えることがあります。
そうした企業の一例を紹介したいと思います。
リース契約の場合、銀行借入の元本部分の返済を待ってもらうのと異なり、リース会社でいう売上高そのものを待ってもらうことになりますので、遅延損害金というものが発生します。リース会社によって遅延損害金の料率は様々なのですが、銀行金利と比べると往々にして高いです。
また、銀行借入は「お金」ですので古くなることはありませんが、リース資産は「有形固定資産」ですので古くなります。固定資産税(償却資産税)もリース会社が負担しています。そうなると、当然、リース会社としても貸倒引当金や経費負担をを早め早めに解消したくなります。
汎用性の高いものであれば、リース資産を引き上げられてしまうこともあり得ます。
リース会社との契約で、残債が残ってしまった場合、通常、その分が解消されるまで遅延損害金を払い続けることになります。
また、リース会社側も貸倒引当金を減少させるために、支払金額の増加を求めてきます。
そのときまでに企業の業績が回復して支払原資を確保できていれば良いのですが、リース契約の支払金額を減額要請している企業であれば、銀行融資の条件変更していることでしょう。銀行からも同様に返済額の増額を求められます。
そのためにも経営改善計画の策定をおこなう際に、無理のない現実的な支払額・返済額を計上することが肝要となります。
弊社のお客様で、銀行の条件変更と同時に、リース会社の支払減額をおこなった企業様がございます。
当該企業様は交渉の結果、銀行系のリース会社2社と支払半額を実施することになりますが、一度も遅れることなく、当初の最終期日を迎えることになりました。
こちらの計画では、遅延損害金を支払いつつ、収益の改善とともに、少しずつ支払金額を増額し、残債を減らしていく計画でした。
銀行側にも、企業存続のために、リース料の支払を優先させていただき、銀行返済の元金増加はリース料よりもかなり控えめにしてもらいました。
そうした内容の計画をリース会社に提示させてもらったところ、リース会社より逆提案をいただきました。
そこは地方銀行系のリース会社なのですが、遅延損害金も再リース料も込々で、あと3年間支払うことで満了とする「合意書」を提示してきました。買取金額も1か月分も支払金額相当でよいとのことです。
こちら側で計算していた遅延損害金や再リース料や買取金額を考えると、とてもよい内容の提案であり、早速お受けしました。
リース会社の部長様が来社された際に教えてもらったのですが、こうした事例は当該企業様で2件目とのことです。これまでに、支払減額はしたものの、一回も遅れることなく支払をおこない、定期的に計画に対する実績の進捗状況を積極的に報告することで、何年もリース料の減額にお付き合いしていただけたと思っております。
(現状は、やはり、事故扱いとなってしまうことが多いようです)
実績や報告で信頼してもらうことができた一例であるとともに、経営改善計画の策定で、どこまで現実的な数値に落とし込めるかが、大切であると再認識できた事例でありました。
ご参考になれば幸いです。
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