『 銀行を選ぶ?銀行に選ばれる? 』 -2014年09月17日号

今後、中小企業が385万社から更に減少すると言われている中、金融機関のさらなる再編も囁かれています。地元でも某地方銀行が再編となると絶えず名前が挙がります。信用金庫においても愛知県はまだまだ数が多い為、今後の統合が進んでいくのは、間違いありません。

本日は私が関わっている2社の事例を紹介します。前期の収益性(売上高営業利益率)はほぼ同率ですが、金融機関の対応が極端に違うので、参考にして頂ければと思います。

まずA社は数年前に当時の経営者の息子が事業を引継ぎました。
その時は多額の役員貸付等不良資産が多くあり、実質的な債務超過に陥っており、金融機関から見向きもされない状況でした。
要は金融機関に選ばれる状況でした。

しかしながら息子の現経営者は、今聞けば事業を立て直す自信があったと仰っていましたが、真摯に財務改善に取り組み、今では自己資本比率40%超となり、事業収支において金融機関から運転資金を借りなくても、経常収支で財務収支を賄えれる状況まで回復させました。

当然ながら金融機関とは立場が逆転し、現在はマル保融資を全て返済し、経営者保証もあと1行を残すのみとなります。借入残高についても現預金が借入残高を上回る実質無借金の状態まで今期上昇していて、今では自社の新戦略にあった銀行を選ぶ段階にまで来ています。

対するB社も数年前に経営者が交代し、血縁関係の無い、現経営者が事業を引継いだのですが、年商の2倍を超える多額の有利子負債が存在し、営業利益が出ても支払利息で利益が消滅し、赤字から抜け出せない状況でした。金融機関からは返済猶予を受け、前期においては金利減免の支援を受けて、ようやく経常利益が出る状態までになりました。

しかしながら多額の有利子負債が存在する中では、金融機関の言う事を聞くしかなく、その金融調整に経営者が自分の時間の多くを取られ本業に集中できない状況が続いています。

B社においては、利益改善だけの内科的手法では再生出来ず、債権放棄などの外科的手法を織り交ぜた抜本的な再建プランが必要との認識が金融機関側にありながら、金融機関側の都合で先送りされているのが現状です。

この状況を覆すには、あと2~3年収益状況を更に回復させ事業価値が向上している実績を積み上げて金融機関に対抗していくしかないと言うのが現時点での私と経営者の共通の認識となっています。B社が銀行を選ぶ状態にするにはまだ時間がかかる状況です。

A社とB社は事業収益性は一緒ながら、財務内容の違いで当然ながらここまで金融機関の評価が変わってきます。決算書重視の彼らの姿勢から言えば至極当然とも言えますが、裏を返せば財務内容が良ければ、銀行を選ぶことは可能という事です。

金融機関再編の足音が聞こえてくる中、現在条件変更している企業は銀行を選ぶ事が出来る状態へ早く切り替える事。再編が進めば融資の選択肢が減り、与信枠も狭められる危険性もあります(これは昨今あった岐阜県の金融機関合併で実際に目にしてます)。その為の目標値はどうすべきか? 自社は一般的に銀行からどう見られているのか?

その為に人が1年に1回は自分の健康状態をチェックする為に、健康診断を受けているように、1年に1回は銀行からの評価では無く銀行以外の第3者から企業の健康診断を受ける事をお勧めします。

客観的に自社を俯瞰出来てこそ、次の1手が見えてくるのです。

今週もありがとうございました。

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