『 2015年の中小企業の重大事は 』 -2015年01月14日号
◆国は「全ての企業を守る」という考えを、捨てている?
バブル経済崩壊以降、国の中小企業向けの施策はなんだかんだといっても、できるだけ多くの中小企業が対象となることを前提としたものでした。
特に金融行政については、かつての安定化保証から緊急保証による新規融資、金融安定化法による返済条件緩和に至るまで、(政府としては)多くの企業が対象となるように設定されたものです。
しかし、昨年以降、状況は変化しています。
既に金融庁は、金融機関の独自判断による中小企業支援の可否判断を認めており、メインバンクの了解の元に、全ての金融機関が足並みを揃えることは、絶定的なものではなくなっています。
(実際、特定の金融機関だけが他と違う要求をして困っているというご相談が増えています)
逆に、個別によりよい支援を受けられる企業も増えています。
共通するのは
- 業績が(利益が)改善していること
- 経営者が高齢の場合、後継者が決まっていること
- また、後継者への承継シナリオが実現可能なものとしてあること
- 債務超過ではない、もしくは10年以内に解消できること
以上の4点。
特に、承継については金融機関への対策に留まらず、税法への配慮が必要であり、特に
- 相続税
- 自社株の譲渡に対するコスト
- 会社と経営者の貸付・借入の処理
- 退職金・慰労金・功労金等の処理
が問題なく処理できるかが肝心です。
金融機関にとっては、融資先企業の承継は企業と金融機関の関係(融資と返済のバランス)だけではなく金融機関の将来的な収益や、貸倒れリスクに直結するため改めて着目されるようになっています。
◆税金への対策が、国へも金融機関へも有利になる
企業にとっても、後継者にスムーズに承継ができるかどうかは、経営者として最大の要点です。
国にとっても、税収を確保したいという本音もあるにせよ承継可能な企業は積極的に保護することを前提にしています。
従って、承継シナリオの存在と現実性自体が今後国・金融機関から支援を受けられるかどうかの最大のポイントになります。
足元の資金繰り対応だけでは、どうしても足りない。
しかし、企業経営者にとっても、せっかく苦労して続けてきた会社を、最後にどうまとめるのか決断することが周囲の信頼や支援を生むのですから、必ずしも悪いことばかりではない、と考えて取り組むべきなのでしょう。
将来像を決めて、そこに向かっている確信を得ることは経営者のお悩みを最小化する特効薬ですから。
国も、金融機関も、中小企業も、先送りをせずに将来と向き合うことが求められています。
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