『 仕入資金さえあれば売上はいつでも上げられる、という落とし穴 』 -2017年07月19日号

「銀行が今、これだけのお金を貸してくれれば会社はやっていける」
「売上が上がらないのは、仕入するお金がないから。借入の返済にお金がとられていってしまう」

というご相談(銀行への不満)を伺うことが多いのです。

その通りのこともあります。
銀行側が御社の状況を掴み切れていない、と感じることもあります。

しかし、そればかりではありません。
あまりにももったいない形で仮に借入ができて、売上が上がっても、会社の資金繰りは好転しないことが見てとれる会社もよくいらっしゃいます。
社長が、それに気づいていないのです。

◆売上が上がる≠利益が増える

資金的に苦境にある会社は特に、回収を先に行いたいものです。
また、受けられる受注は、片っ端から取りに行く傾向が強くなります。

そうなると、

  • 目の前の現金回収だけが先に立つので、価格の適正さよりも受注をすること自体が優先される。つまり不適正なダンピングに陥る
  • 利益管理が不十分、納期管理のみが行われ、取引自体が赤字化。また、赤字化していることに気づかない

ようになります。また私の知る限り、経営者はその事実を自ら知ることが困難です。

正直なところ、無意識で「都合が悪いかもしれない事実を知りたくないので、これくらいの利益が出ているはず、で済ませてしまっている」のが本音ではないかと考えています。

しかし、こうなると売上が増えたところで利益は悪化します。
資金繰りも長期的には悪化します。

◆利益の出ない売上が増える=会社の作業量が増えるだけ

行動成長、バブル経済までの世であれば、仕事をしさえすれば会社に利益は残っていたでしょうけれども、値引き交渉が常に発生している昨今、資金対策という大義名分で利益をみずに売上だけをみるのは、あまりにも危険です。

なにしろ、「頑張って売上を上げれば上げるほど、赤字が増える」
「数か月後になると、資金繰りはもっと悪化する」
のですから。

これからの企業経営には、身の丈にあった売上に、適切な利益が得られるよう管理していくことが不可欠なのです。

売上は、ある意味会社の作業量です。
作業量が増えても、残るお金が減るというのは、あまりにももったいないのです。

どうか、全ての中小企業経営者が「適切な売上」「適切な利益」を基に、身の丈にあった経営をされていけますように!

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