『 月次推移の実績と予想の資金繰り表でわかること 』 -2019年04月03日号
顧問先の財務状態を把握するための一環として、月次推移の資金繰り表を作ります。
よく顧問先の経営者に、こう言うことがあります。
「損益は概念ですが、キャッシュは現実・現物です」
特に経営改善や事業再生状態にある企業にとっては、キャッシュの動きを細かく掴んでおく必要があります。
当然、損益管理も重要です。
発生主義であったり、部門別管理であったり、と整っていなければ、きちんと整備していく必要があります。
ただ、発生主義や部門別管理をおこなっていく体制に時間を要することがあります。
顧問の税理士事務所が対応してくれなかったり、社内で自計化してはいるものの現金主義になっていたり、様々な要因で目指すべき損益管理に辿り着けないこともあります。
それはそれで時間が掛かっても整備していくのですが、それを優先して、まずはキャッシュの動きを付けていく資金繰り表の作成をすることを勧めています。
資金繰り表の作成というのは、現金と預金の動きを収入と支出に分けて付けていくという作業になります。
会計ソフトであれば、設定をすれば、ある程度のものは出てくると思いますが、自社で見たい形式になっていないこともあるので、
エクセルに落とし込んで作成するとわかりやすいです。
よくやる作成の仕方として、大まかに次に3つに区分します。
- 本業(営業活動)における収入と支出
- 投資活動における収入と支出
- 財務活動における収入と支出
加えて、それぞれの区分を内容によって項目をわけるのですが、細かくし過ぎず、ざっくり把握できれば結構です。
ただし、重要なのは、「本業(営業活動)における収入と支出」が年間を通じでプラスで終わっているか、という点と、手許残高が前期よりも、増えているか、という点です。
明確な理由があって、一時的に収支がマイナスになったり、手許残高が減少してしまう、というのであれば、まだ良いのですが、そうした理由もなく恒常的に、収支のマイナスや手許残高の減少に至ってしまっているのであれば、これは、まずい状態にあると言えます。
また、キャッシュの動きや手許残高というのは、損益といった概念的なものではありません。現実や現物になります。
現実・現物なので、在庫が反映されていないので、とか、締め後が入っていないので、とか、そういった理由は関係ありません。
シビアに現実を見ていくことができます。
こうしたキャッシュの動きを、月次推移の”実績”資金繰り表として、月次試算表の作成と同時に作成しておくことで、キャッシュの流れがわかるようになります。
さらに、この”実績”資金繰り表を基に、次期の”予想”資金繰り表を作成していきます。
固定的な支出や、借入返済額で大きな変更がなければ、前期のものをそのまま使用し、変動わかる箇所のみ修正を施していきます。
ここでは、変動部分の収入・支出を厳しめ入力していくことで、固めの予想資金繰り表を作っていきます。
この予想資金繰り表で「本業(営業活動)における収入と支出」がプラスになり、手許残高も資金ショートしないのであれば、次期の
1年間は資金繰り破綻することはない、と言えます。
逆に、手許資金が続かない予想が見受けられるのであれば、その時期を見越して、早め早めに対応することを挙げていきます。
ぜひ、どういったキャッシュの流れで、会社が運営されているのか、を現実・現物の数字で捉えてみてください。
見えてくるものがあることと思います。
この度の情報が、ご参考になれば幸いです。
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