『 決算書しか出さないのは損? 』 -2019年07月18日号
◆決算書の提出と、「支援方針稟議」
企業の決算は3月が多いですが、中小企業の場合は決算の2か月後の5月には申告がなされます。
すると、もう融資取引のある金融機関には決算書を提出し、金融機関は決算書をベースに、企業の評価・格付けを行います。
近年では、大半の金融機関では格付けとともに「支援方針稟議」(金融機関によって名称は様々です)を行い
「プロパー融資を含め、積極支援」
「保全(マル保)対応」
「回収専一」
「季節資金の短期対応は可」
「他行との競合は不可」
「プロパー融資は事前協議」
といった具合に、融資企業への支援方針を定めています。
この支援方針というのは中々やっかいなものです。
例えば「保全(マル保)対応」と一旦決められてしまうと、後から覆すのはハードルが高くなるのです。
不都合な方針をとられてしまうと、見直しには次回決算評価を待たなくてはならないため、企業にとって決算書の提出は、金融機関の出方を決める重要なタイミングになります。
◆決算書だけでは季節要因や月次推移は分からない
決算書を見れば1年間での企業の事業実績全体は分かるのですが、
- 特定の月・時期の変動が分からない
- 足元の状況(例えば、売上や利益が12ヶ月前より今の方が改善基調にあること、等)
は見えにくいものです。
ひと昔前、何でもかんでもマル保・長期での対応をしていた頃はこれでよかったのかもしれませんが、今日では融資評価にも不都合がでやすいことを企業経営者も知っておくべきでしょう。
事業性評価や新たな融資制度によって、金融機関もプロパー融資の拡充に取り組んではいるものの、プロパー融資は
融資金は、何に使われるのか(資金使途)
どのようにお金が回収されるのか(返済原資)
は特定される必要があります。
そして、金融機関がそれらを理解するためには、決算日だけの数字では足りません。
企業の事業・資金の推移や傾向を、もっと知っていただくために別の資料で補完するべきです。
◆推移表の提出が、必要な融資を得るポイントになる
私のお客様には、決算書提出時には、決算書とは別に年間の月次推移表も添えて提出していただいています。
これによって、
・○月ごろに、売上が低下しやすい
⇒現預金はその翌月に低下しやすい
⇒そのタイミングで、短期でいいからプロパー融資が欲しい
ことを明らかにし、支援方針に盛り込んでもらうためです。
実際、リスケ中でもこの方法で融資を得られたことも何度もあります。
正直なところ、実際にやられている企業様は数分の一以下と思いますが、だからこそ、やってみると注目されます。
融資は困ってからではでないものです。
しかし、困る前に準備しておくことはできます。
是非支援方針を御社の資金需要に合う形で得られますように、提出資料を再考されて下さい。
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