「できあがった決算報告書でも、それから更に改善できる」
決算を迎えると、通常、2か月後に、税理士先生に決算報告書を作成してもらい、申告をします。5月の申告は、3月決算法人です。
3月決算法人は、年度終わりということもあって、他の月より申告件数が多く、また、ゴールデンウイークもはさむことから、税理士先生は大変お忙しい月となります。
税理士先生は、決算がまとまると、決算報告書(貸借対照表や損益計算書等が載っているものです)や勘定科目内訳書(預金・売掛金・買掛金・借入・役員報酬・地代家賃・雑収入等の内訳明細です)を社長等に見てもらい、了承が出てから、申告書の作成をします。
・決算報告書・勘定科目内訳書
↓
・法人税等申告書
こうした流れの中で、決算申告業務が終わっていきますが、今一度、決算報告書を見てみてください。
貸借対照表の純資産額や、損益計算書の税引き前当期利益は変わることがなくとも、流動比率や営業利益をより良くすることができるかもしれません。
自分が決算報告書を見せてもらう時に、よくありがちなことが、大きく2つあります。
まず、貸借対照表ですが、役員や株主や経営者親族からの借入金が、短期借入金として計上してあることです。
本当に一時的な借入(1年以内に解消される借入金)であれば、流動負債である短期借入金で良いのですが、多くは、完済の見通しが1年超となっているものが多いと思われます。
1年超の借入金であれば、固定負債の区分に配置するべきです。
そうしますと、買掛金等とは異なり、1年以内に完済するものでないという解釈になり、流動比率等の内部指標が良くなり、金融機関が付ける評点も改善される可能性があります。
次に、損益計算書ですが、雑収入に注意してみてください。
雑収入の内容を勘定科目内訳書等で把握し、販管費のマイナス計上で処理できるものがないか、確認してみてください。
例えば、関係会社の事務用品等を負担していて、その分を関係会社から受け入れる場合に、
(1)-1
・負担時: 事務用品費 / 支 払
・受入時: 入 金 / 雑収入
と起票することもあるかと思います。
また、取引先へ銀行振込をする際に、振込手数料分を相手負担として処理することがあるかと思います。その場合、
(2)-1
・支払時: 買掛金 / 支 払
買掛金 / 雑収入
と起票することはないでしょうか?
こうした場合、以下のように修正することで、営業利益を改善することができます。
(1)-2
・負担時: 事務用品費 / 支 払
・受入時: 入 金 / 事務用品費
(2)-2
・支払時: 買掛金 / 支 払
買掛金 / 支払手数料
仕訳を見ていただければ、おわかりになるかと思いますが、(1)-2・(2)-2とも経常利益の金額は変わりません。
ですが、営業利益は良くなります。
この改善により、金融機関の付ける評点が良くなることがあります。
たとえ金額は少額でも、1年に1回の通信簿だと思えば、少しでも良い点数を残してください。
一度、決算書やデータとして残ると、一生、変更することはできませんので。
ご参考ください。
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