『 日本政策金融公庫 』 -2013年06月12日号
日本政策金融公庫は平成20年10月1日、国民生活金融公庫と中小企業金融公庫と農林漁業金融公庫の3つが合併して設立されました。
しかし組織体として一つにしただけで金融事業内容はこれまでと変わらず、自社の規模・事業内容よって窓口が変わります。
国民生活金融公庫 → 国民生活事業
中小企業金融公庫 → 中小企業事業
農林漁業金融公庫 → 農林水産事業
国民生活事業は個人事業主と年商10億未満の法人が対象となりますが、殆どが年商5億以下の先が対象です。
そして国民生活事業の特徴は、以下になります。
- 創業融資があること
- 無担保で一定金額の融資を受けられること
- 飲食店や理容・美容業には融資実績が豊富にあること
創業融資があるのは、信用保証協会付融資と国民生活事業の創業融資になります。また税務申告前に創業融資を受ける際には3割程度の自己資金が必要にります。
私のこれまでの国民生活事業に対するイメージですが、無担保融資を民間金融機関より出しやすかったとはいうものの旧国民生活金融公庫時代は担保・保証人を代表者以外より多く取っていました。
相談時の面談においては当事者(代表者)以外の同席をまず拒否される状況。
条件変更においても謝絶は当たり前であり、民間金融機関とも歩調を合わせるといった事はほとんどありませんでした。
それが、金融円滑化法案施行後は、対応を180度変えて柔軟に条件変更にも対応して頂けるようになり、その流れは今現在も続いています。
一方で条件変更中であっても、融資残高が減ってくれば折返し融資を検討してくれ、実際に融資をして頂いた事例もあります。
次に中小企業事業ですが年商10億以上の中小企業を対象とはしているものの内容によっては年商5億以上の企業との取引も可能です。
特徴としては
- 財務内容によってはメインバンクになってくれる
- 財務に強い優秀な職員が多い
- 資本性借入金の取扱をしている
あくまでも私の経験則での話ですが、中小企業事業の職員は国民生活事業の職員の事を下部組織扱いしています。
確かに中小企業事業の職員には中小企業診断士の方が多く勤務しており、財務に明るい人材が多いのが特徴です。融資姿勢についても、手堅い政府系のイメージとは一線を画した民間金融機関と同じかそれ以上に柔軟な動きをして頂けることもあります。
しかしながら融資審査の中では総勘定元帳の提出を求められるのは、必須事項であり、実態把握能力と事業計画実現可能性を見極める能力は規模上位地銀やメガバンク並みである事から、融資を受けるハードルは必然的に高くなります。
また国民生活事業で扱っていない資本性借入金の取扱いも行っています。挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)の名称で返済については7年~15年の期限一括償還となっている為、みなし資本として組み入れる事が可能です。金利については毎期決算の業績によって、変動するタイプで資本性の意味合いを強くする上で業績が悪いほど、低金利が適用されるのも特徴の一つです。
条件変更においても、国民生活事業とは違い経営改善計画書の中身をしっかり精査して頂いた上で、他行との協調も柔軟に行ってもらえる事が可能です。
この様に、一言で日本政策金融公庫といっても対象となる事業部によって内容が異なってくることから事前に相手を知る事が資金計画を考える上で非常に重要になってくるのです。
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