『 名古屋の不動産価値の下落と、その活用 』 -2020年07月22日号

新型コロナウイルスは、不動産価値にもマイナスの影響を及ぼしています。
不動産の利用としては、大きく商業用と居住用に分けられます。
また、所有者されている方と、それを借りている方で、成り立っています。

事業者としては、自社で所有されている場合と、賃借されている場合とがあるかと思います。
まず、自社で所有されている場合ですが、不動産価値が下がることを見込んでおく必要があります。

知り合いの不動産鑑定士の先生や同業者等との情報交換等で知り得たことですが、これから2年~5年程度はゆっくりとですが着実に、不動産価値は下がり続ける、と推察されるとのことです。

理由としまして、商業地においては反動の大きさが挙げられます。

少し前までは、東京オリンピックでの経済効果が期待されていました。
その開催が延期か中止という方向になってしまい、期待されていた経済効果が享受できなくなる可能性が高くなってしまいました。

期待していた分、その反動が大きいということですね。

加えて、新型コロナウイルス収束の目途が予想できない、ということが挙げられます。

現在、在宅勤務やリモートワークが推進されています。
これによって、広いオフィスは必要ないのではないか、といった流れが起きています。

賃借している物件の場合は、これまでの部屋より狭い面積の物件へ移転することが考えられます。

物件を解約するためには、解約予告を何ヵ月か前に通知する必要があるため、まだ実際の数は少ないかもしれませんが、これから、その解約予告の必要期間が、順次、経過してくると思われるため、一気に移転が加速すると考えられます。
そうなれば、賃貸人側の賃料収入はどんどん下がっていくこととなり、物件価値の下落につながっていきます。

物件を所有している事業者の場合は、これまで通り使用していくことも比較的多いかと思います。

しかしながら、事業者の経営状況によっては、物件を売却することもあるのではないでしょうか?
この売却が更なる不動産の下落につながっていきます。

居住用に関しましては、商業用ほどの下落はないと見込まれていますが、商業用の不動産価値が下落すれば、当然、それに引っ張られることになろうかと思います。

また、人口の減少といった事象の歯止めは立っていませんので、空室や空き家も増える一方であり、価値の下落は続くものと考えられます。

こうした状況下ではありますが、思考停止にならずに、できることを考え続けていかなくてはなりません。

まず、事業者としましては、利用物件をどうするのか、ご検討ください。
賃借していいれば、移転する必要があるのか。縮小ということだけではありません。
場合によっては、今、利用している物件より、条件の良い物件がでてくる可能性もあります。
不動産情報に目を光らせておいてください。

所有していれば、時価の算定をおこなってみてください。
概算であれば、市区町村から通知されている固定資産税評価から割り戻しして算出したり、国税庁の発表する路線価から割り戻して算出したり、いろいろと方法はあります。

その算出金額を基に、今一度、自社の決算書の貸借対照表を再計算してみてください。

と言いますのも、決算書の貸借対照表に載っている土地の金額は、取得した時の金額になります。
ですので、時価に置き直してみて、貸借対照表の “実態” を把握することが必要になります。

この簿価ベースの貸借対照表を、時価ベースの貸借対照表に直すことを、実態バランスで見る、という表現をしますが、金融機関とのやり取りで、耳にされたことはあるのではないでしょうか?

この取り組みを自社で積極的におこなうことをお勧めいたします。

実態把握とともに、不動産の下落が織り込まれた決算後であれば、取引金融機関の評価が下がってしまう可能性があります。
その前に、資金調達等、より良い条件下で、動いておく必要があるかもしれません。
特に、我が社は資産超過なので大丈夫、と思っている事業者様は、ご留意ください。
地域によっては、下落幅がとても大きくなることが考えられます。

そうなりますと、一気に債務超過まで陥ってしまうことも、充分、あり得るからです。

一旦、債務超過に陥りますと、金融機関の対応は、コロッと変わりますよ。
特定の事業者や業種によっては、攻めに転じることもできるかもしれません。
これまで値段が高くて買えなかったモノが、変えるような価格帯になるかもしれません。
(モノには、会社や事業も含まれます)
事業承継においても、株式価値の下落に乗じて、進めることができることがあるかもしれません。

これからは特に、変化せざるを得ない時期になります。

競合は変わっていきます。
変わっていかないと取り残されてしまいます。
事業を継続していくために、この変革期に、考え続けて、乗り越えて参りましょう。

この度の情報が、ご参考になれば幸いです。

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