『 相続と事業承継 』 -2023年02月01日号

相続と事業承継。

専門家からみればガッツリ繋がっていることを理解しているこのテーマ、経営者からみると別々に考えていらっしゃる方がまだまだ多く感じます。

そしてこのテーマは中小企業の事業継続に今重くのしかかろうとしています。
今回と次回はちょっと重たいけど、事業継続において避けて通れない本テーマについて情報提供できればと思います

事業運営体として大きく分けると個人と法人に区分されると思いますが、それぞれの違いって理解していますか?

法人は会社法に定められた内容で、事業運営において権利関係や運営執行方法を選択していくことになります。権利と執行を柔軟に分けることも可能です。
それとは違い個人事業は個人が事業主であり権利と執行を全て行うことになります。

その選択により相続と事業承継の対策も異なってくることになりますので、ご注意ください。

まず個人事業主は全ての事業資産を通常であれば事業主個人か親族がお持ちなので、事業承継においては承継する事業資産を全て個別に移転させていく必要があります。
後継者(息子様)と事業譲渡契約を結ぶにしても譲渡資産一覧の作成が必要になり結果、個別に契約変更を行っていかなければなりません。
手間がかかってしまうというのと、承継し忘れていたという抜け漏れが起こる可能性があります。

法人はどうかといいますと、会社の資産・負債一切の権利は株主が一定の比率によって決定ができますので、株の移転を行うだけで完了します。
(正しい株価算定を行っているというのが大前提にはなりますが)
ただ株に権利関係が集中する反面、株価のコントロールという事業継続とは少し路線の違ったところに視点がフォーカスされ、裏技的なことを考える方がいらっしゃるのもまた事実です。

その中で事業承継と相続がより密接につながっているのは個人事業主で、代表者の急逝により即、事業資産=相続資産となり、相続が終わらないと事業資産が使えない状況に陥り、事業停止・資金繰り破綻になりそうだった方を見てきました。
法人よりも計画的に事業資産移転を進めないといけないのは個人事業主なのです。
万が一というのは、万に一の確率で起こることなのです。

相続とは被相続人(亡くなった方)の財産を相続人(受け取る人)へ移す行為です。
法人は基本、亡くなるということがない(解散するという行為はありますが)ので相続という考え方が存在しません。法人が所有している不動産においては株主が無くなっても所有者は法人で変わりませんので、株主の相続において取得税等の不動産の移転費用も
かからないのです。

よって代表者が急逝しても株主でなければ、別の方が運営していくことになりますし、株主が急逝したとしても株をどうするかの問題は相続として発生しますが、事業はそのまま継続していくことが可能です。
(将来的に大株主の意向でどうなるかのリスクは存在しますが)

上記踏まえて、相続と事業承継を考えた時に、これまで(自分の代)は個人事業主でも何ら問題なかったが、後継者に渡すときは法人成りをして、相続における事業継続のリスクを少しでも減らして、後継者に渡しやすい、引き継ぎやすい環境を作っておくのも現経営者に課せられた使命です。

ただ法人にしておけば事業承継のリスクは減るのかというとそういう訳でもなく、連帯保証の問題も根強く残っていますので、次回はこの点をお伝えできればと思います。

今回の情報がお役に立てれば幸いです。

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