『 取引金融機関は多いの方が良いのか? 』 -2023年06月07日号

よく取引金融機関の数についてご相談を受けます。
みなさまはどのくらいの数の金融機関と付き合われていますか?

ここでは取引金融機関の定義を現在融資を受けている金融機関とします。

また多い・少ないの定義は中小企業の場合、

少ない・・・メイン・政府系でシェア90%以上ある
多い ・・・政府系以外で5行以上と取引している

とここではしています

その上で今回は多い・少ないそれぞれのメリット・デメリットを検証したいと思います。

  1. 取引金融機関が多い場合
    • メリット
      各金融機関毎の独自の審査、融資姿勢があるため、融資選択肢の幅が広がる
      企業側が好業績の場合は競争環境が働いているため、有利な条件での借入が可能 
    • デメリット
      一歩踏み込んだ融資提案が出てこない可能性がある
      企業側の業績が悪化した場合、融資姿勢に極端な変化が出る可能性がある
      私的整理等の金融調整が必要な場合に意見が纏まらない可能性がある
  2. 取引金融機関が少ない場合
    • メリット
      メイン金融機関として企業を支える姿勢が高くなる傾向がある
      (一歩踏み込んだ融資提案が出る可能性が高くなる)
      私的整理等の金融調整が纏まりやすい
    • デメリット
      メインとの取引が終われば、金融支援は受けられない
      メイン金融機関の実力次第で融資選択肢の幅が決まってしまう
      金融機関間の競争環境が働きにくい

企業側からの情報提供や適切な財務資料の開示があることが前提にはなりますが、いかがでしょうか?

また、ここにプラスして、みなさまが事業運営されている地域の実情がプラスされます。

例えば愛知でも尾張と三河では金融機関のパワーバランスが異なります。
三河地区では1兆円越えというメガ信金さんが多く存在しています。
尾張地区ではメガ信金さんは少ないものの地銀さんが凌ぎを削っています。
また三重県南部では、そもそも金融機関の選択肢が地銀さん、信金さん1つずつになってしまっている地域もあります。その場合、選択の余地がありません。

そう考えると都市部においては、都市部においては取引金融機関の数を増やし、地方になり得るところにおいては取引金融機関の数を絞っていくことが一見すると合理的であるようにも思えます。本当にそうでしょうか?

ただここで考えてほしいことが、ある経営者に言われた一言です。
『金利(支払利息)は仕入でもある』と。。。。

事業は一般的に金融機関からの借入が無いと運営することが出来ません。
地域金融機関は地域経済を発展させるために金融という機能を使って商売をしています。

経営者から見れば、金融機関は本来、共に成長していくパートナーでなければなりません。
にも関わらず資金調達コンサルなどと申す方々が資金調達手法が存在するかのようにWebサイトやYOUTUBEを賑わしています。瞬間の資金調達なら役立つかもしれません。

ただそれではいつまで経っても互いの溝は埋まらず相対する関係のままで共に成長する関係など築けません。
金融機関を『競争させる関係』から『共創できる関係』へ、『相対する関係』から『合いたい関係』へ思考を変革させるタイミングに差し掛かっています。

今回の情報がお役に立てれば幸いです。

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