『 プロパー融資を獲得するための信用保証付債権DDS活用 』 -2023年06月21日号

2023年1月に、中小企業庁のWebサイトにて、「 中小企業者に対する早期の経営改善や事業再生を後押しするための信用保証制度の要件を拡充します」という公表がなされました。

概要としましては、「信用保証付債権DDS」の計画要件が拡充された、というものになります。

これまでも、日本政策金融公庫等の政府系金融機関において、資本性劣後ローンの取り扱いによって、同等の対応がなされてきましたが、こうした公的な取り組みを、保証協会を介在させることによって、民間の金融機関へも促そうというものになります。

こうした取り組みによって、コロナ融資で過剰債務となってしまっている借入の返済を繰り延べる効果が見込めますので、コロナ融資の据置期間が終わり、返済が開始する事業者様は、積極的に活用されることをお勧め致します。

それで、拡充された内容についてですが、これは、どういった拡充内容かと言いますと、これまでは、(1)中小企業活性化協議会等による再生計画が必要であったものが、これからは、(2)認定経営革新等支援機関が経営改善計画策定支援事業(所謂、405事業)によって策定を支援した事業再生計画においても、全債権者の合意を得たものであれば対象とすることとなり、間口が拡がることになりました。

因みに、(1)中小企業活性化協議会自身による支援としましては、収益力改善支援や、プレ再生支援・再生支援、再チャレンジ支援といったものがあります。

行政側において、「公」として事業者様と一緒に取り組んでくれるものになります。
士業専門家や金融機関から赴いているマネージャーやサブマネージャーといった方々が対応してくれます。

これに対して、(2)「民間プレイヤー」を活用した支援として、早期経営改善計画策定支援と、経営改善計画策定支援(所謂、405事業)があります。

士業先生や、弊社のようなコンサルティング会社といった認定経営革新等支援機関が事業者様と一緒に取り組むものになります。

信用保証付債権DDSの実行にあたって、これまでは、入口が上記の(1)しかなかったものが、(2)においても可能となったというものになります。これによって、相談できる先も拡がり、取り組みにおけるハードルが下がったと言えます。

さて、今回、信用保証協会が、政府系金融機関のように、対象の融資を劣後化するリスクを取って、DDSを取り組んでくれるわけですが、政府系金融機関の対応とは異なる部分があります。

その異なる部分が、「信用保証付債権しか存在しない場合は、プロパー新規融資の原則同時実行を要件とすることで信⽤保証付債権DDSの対応を可能とする」というものです。

要は、信用保証協会もリスクを取るので、民間金融機関も同等のリスクを取って、プロパー融資にてDDSを実行することが条件となっているということです。

これまでも、貴社において、信用保証付き融資においては柔軟に対応してくれるものの、プロパー融資となると途端に対応が厳しくなることは、往々にして、あったのではないでしょうか?

民間金融機関側からすれば、先に信用保証の枠を埋めてしまいたいという思惑があり、事業者様側としては、何か窮するときのために、信用保証の枠を取っておきたい、というそれぞれの陣地取りがあるかと思います。

プロパー融資は、一定以上の財務状態でなければ、取り組みが難しいのも事実です。
財務状態が芳しくない事業者様は、そういった懸念から、信用保証付きかプロパーかをあまり考慮せずに、言われるがままに融資を受けてきたこともあるかと思います。

その結果、信用保証の枠が埋まってしまい、窮境状態に陥った際に、新たな資金の確保ができなくなり、リスケジュールでしか対応ができなくなってしまったということがよく見受けられます。

こういった状態になる前に、民間金融機関にもプロパー融資に慣れてもらう必要があります。

そこで、プロパー融資を掘り起こす一つの取り組みとして、この信用保証付債権DDSを活用して欲しいのです。

最近の民間金融機関の動向としては、コロナ融資の獲得が大きかったと思います。
こうした信用保証付き融資に慣れてきている中、改めてプロパー融資に取り組むということは、事業者様の実態や事業性を把握することが必要であり、そこに注力していただく必要があります。
これには金融機関側にも、経験も時間も必要であり、正直、面倒くさいということもあるでしょう。

ただ、メイン行として、事業者様を支援するという立場であることも事実ですので、是非、この信用保証付債権DDSの件を、メイン行の担当者に話してみてください。今後のメイン行の支援方針も把握しておく契機にもなるかと思いますので、積極的にコミュニケーションを取ってみてください。

何となくは理解したけど、もっと詳細を知りたい、自社の財務状態に即した具体的な取り組み方法を知りたい、という方は弊社でも説明する機会を設けています。

この機会に、是非、一般論ではなく、具体的な情報収集をしてみてください。

それでは、この度の情報が、ご参考になれば幸いです。

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