『 代位弁済 』 -2024年04月24日号
2009年に金融円滑化法が施行されてから、あまり聞くことのなかった今回のテーマ。
コロナ禍が明けてから、少しずつ聞く頻度が増えてきまして、
最近は特に多く耳にするようになりましたので、今回情報としてお伝えできればと思います。
代位弁済とは、借金などの債務を債務者(借りた人)以外の者が弁済し、その弁済者が債務者に対して求償権を取得する場合の弁済をいいます。
債権者からみれば連帯保証人などの債務者に代わる者(代位する者)から弁済を受けることになり、
債権者の求償権は弁済者に移ることになり、債務者は弁済者に今後、債務の返済をしていくことになります。
中小企業金融において代位弁済としてよく起きている?こととして保証協会の代位弁済が挙げられます。
これは何らかの事情で金融機関への返済が滞り、事故扱いとなって保証協会が企業に代わって、
借金の弁済を履行することです。
原則として、一つの金融機関が代位弁済を行えば、事故扱いとなり信用不安から他行の保証協会付融資も全て代位弁済されるとお考え下さい。
では代位弁済となったら、事業継続は出来ないのか? という疑問が出てきます。
結論から言えば、事業の停止=資金繰りが回らなくなった時ですので、代位弁済となっても事業は継続していきます。
代位弁済した保証協会と今後の返済金額について、真摯に話し合いをしてください。
プロパー融資についても債権をもっている金融機関(場合によってはサービサー)と交渉を継続してください。
ただ相手の言いなりになってしまい、経常収支以上の返済金額を設定してしまうとたちまち資金繰りに窮してしまいますので、
今後の事業計画・資金繰り表は持参して交渉に臨みましょう。
その中で一つ覚えておいてほしいことは返済できなかったということは金融機関としては事故扱いとなり、信用はどん底まで落ちてしまうということです。
よって今後の資金調達は、代位弁済中は不可となり、事故扱いとなった金融機関に関しては情報が残ることから、
今後の取引は一生出来ないとお考え下さい。ただ現時点では一県一金融機関となっている一部地域を除いて、
金融機関同士の競争環境は続いていることから、事業収益を出し続ければ、金融復活の選択肢はある可能性もゼロとはいいませんが、一旦は信用ゼロです。
ただ保証協会にも求償権消滅保証という代位弁済から復活する救済制度融資もありますので、
代位弁済となった方においても諦めずに事業継続の可能性を追求されるのよろしいかと思います。
私の知っている例だけでも、過去に民事再生を行って保証協会融資は代位弁済となって、プロパー融資が一部サービサーに売却された案件がありましたが
企業側の業績回復もあってプロパー融資は支援に乗り出した地方銀行で集約し、代位弁済となた保証協会付融資は求償権消滅保証を使って正常化させた例がありました。
道のりは長く、稀ではあるものの可能性はあるということです。
そしてもう1点、代位弁済する際は資金繰りにおいて細心の注意を払ってください。
即ち代位弁済をするという決断をする前に、今後の資金繰りにおいてより綿密に精緻に考えてください。
先程、お伝えしたように、金融事故のため、今後金融機関(要は他人)から資金調達をすることが原則NGとなります。
そうなった場合にどのように資金繰りを回すのか? 資金を捻出するのか? 今まで以上に精緻に考え、計画を練り、シミュレーションする必要があります。
それが出来なければ、周りに迷惑をかける方々を増やすだけになってしまいますので、店仕舞いを考えられた方が良い場合もあります。
これまで以上に踏み込んで事業を復活させるために、
- 役員報酬(生活費)は切り詰めれないか?
- 事業(商品)の再集中を決定し、更なる固定費を圧縮できないか
- 在庫を発注方法、ロット、発注先、最低在庫数、種類を見直し、もう1割圧縮できないか
- 家賃の交渉はできないか?
- 現金決済には出来ないのか?商品種類を変更し、取引慣行の見直し・取引条件の変更が出来ないのか?
- 支払いの方法をクレジットなどに変更することで、更に現金支払いを遅らせれないのか?
まずは上記を漏れなく実行できるものはしてください。
緊急時であっても【微差が大差をうむ】ことは変わりません。
再生状態まで陥ってしまった企業に対して、昔以上に再生の選択肢は増えてきていますが、経営者が持つべき覚悟は変わってしません。
まずは覚悟からが再生のスタートです。
今回の情報がお役に立てれば幸いです。
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