取り組み事例紹介 Case1

~経営者であることを自覚させ、財務・実務の管理体制確立から開始した事例~

弊社訪問時の状況

お客様が抱えていた課題・要望

取り引き先に言われるがままに支払をおこなっているが、
負債総額が把握出来ておらず、債務超過も5000万円以上。どうにかしたい!

具体的な
相談内容
・先代から事業を引き継いだが負債総額が把握出来ない。
・資金管理体制が確立されておらず経営が数値化出来ない。
・店舗の損益。原価管理が出来ておらず、損益が分からない。
・生産管理、販売管理の方法が確立されていない。
・企業の資産や負債の区別がつかず、個人名義で借入した債務を返済したい。
・明確な経営目標や経営戦略がなく、企業としての方向性が見出せない。
負債状況・社会保険料・国税滞納総額 1500万
・仕入等業者滞納 1500万
・借入総額 8000万
・個人債務 700万
業種食料品製造販売業
年商1億円
業績下降気味

短期的取り組み

STEP01 会社を健全化するための意識改革

まず、経営者としての意識を変える所から着手した。創業江戸時代からの地場で有名な食品製造販売業の企業であったが、資金管理体勢も確立されておらず昔ながらの商品を作って売るだけであった。

そのため製造原価を把握することが出来ず、いわゆるどんぶり勘定に基づく経営を行っていた。経営者も社員も事業を継続するにあたり、必要なコストに対する意識も低く、日々大量の販売ロスが発生していた。

また、資金繰りに関しても個人と企業の資産・負債の切り分けが出来ておらず、資金繰り改善のため個人名義で借入を行っている状態であった。そこで、経営者に今までの意識を変えて頂く所からコンサルティングを開始した。

STEP02 現状の把握と交渉による支出の圧縮 月々の返済額が50万円から8万円に

緊急避難措置として支出額の圧縮を目的とした交渉から開始した。具体的には、現金出納帳・日繰り作成表による資金管理を行った。

資金管理体制の確立を経て、金融機関とリスケ交渉を行い、返済額を月額50万円から月額8万円まで減額した。その他にも、社会保険料・国税滞納金を月額3万円で分納することに成功し、取り引き先には新規仕入れ分のみ通常通りの支払うことを前提に長期弁済承諾を得た。

また個人名義の債務も、複数だった買い入れ先を一本化し、月々の返済額を圧縮した。

これらの施策により、借入金返済のため新たに借入を行う状況から脱却した。

中長期的取り組み

STEP03 管理体制の構築 販売ロス率5%から10%の削減

資金繰りが落ち着いてきた所で、管理体制の構築を開始した。

まず、資金繰りの悪化原因となっていたどんぶり勘定を改めるため、部門別損益・製造原価方式は全く採用しておらず、店舗損益・製造原価は全く不明の状態であったため、経営者に何処にどれだけの費用がかかっているか認識してもらうため、全体の試算表を作成して頂いた。

実際には、こちらで修正・フォロー行う事で数値に対しての意識を植え付けた。

完成した数値を元に予実管理体制を整え、毎月の金融機関報告の際、持参し金融機関の支援を得ていた。

メイン販売している食品は日持ちがしない為、大量の販売ロスが発生していた為、ロス管理を行い従業員に対しロス意識の植付け取組を行い、当初より、ロス率を販売数対5~10%の削減した。

STEP04 現状も引き続き商品構成の見直しを提案中

メインで売れている商品(6種類程度と季節商品)以外に何十種類もの少数商品があるが、少数商品の販売数統計を取っていない為、どれだけ売れているのかまたはロスになっているのか把握出来ていない。

よって一度少数商品全ての生産をやめてゼロベースで工場従業員と話し合い、老舗としての誇り・経営理念に沿った商品創り・お客様の立場に立った商品提供を追求していく事で新しい商品価値を築き上げていく。

エクステンド
担当者

このお客様の再生は意識改革と継続がポイント。
今後の課題はタイムスケジュールの中に落とし込んだ具体的な行動計画をどれだけ実施出来るかにかかっている。
資金繰り破綻状態からは脱出して利益も数値で把握出来るようになり、成果を上げつつあるが、商品構成・生産管理・販売管理・社員モチベーションUPの仕組み創り等、解決すべき課題はまだまだ山積しているが、現経営者の元に創られていなかった経営理念を創り上げ、理念経営を浸透させていく段階に入っている。

その他の事例

▽ Case2資金調達成功と収益改善策の提案と実現
▽ Case3取引先交渉による資金支出の抑制と、ボトムアップによる経営改善の提案
▽ Case4金融債務支払の圧縮(銀行リスケとリースリスケ)と、危機感の共有
▽ Case5経営者の意識を変えた どんぶり勘定の経営者意識を変えるところから始まった